おヨシとおケイ 2008.11.20

 いや~、すっかり寒くなってきましたね。各地では雪が降っているようです。近頃、朝晩、最寄駅までツレを送り迎えしています。薄い作務衣で外に出ると、冷気が身体に沁みますね。先日、私が東京出張している間、町内の清掃があったそうです。班ごとに家の周辺を掃除するのです。マンションとか区単位で集まって清掃するそうですが、なんと私の住むマンションでは、集まったのがツレ一人だったとか。公民館に「どこに集まればいいですか?」と電話したら、どこそこに人がいるから、と言われたのですが、誰もいません。結局、ツレが一人でマンション周辺の掃除をしたそうです。この寒い中を。こうなったらとことんきれいにしてやる、と思ったそうです。私から見てもツレは運がいいと思います。やりたいと思ったこと、行きたいと思ったところ、ほとんどすべて実現しているように思います。そうなる人とならない人。もしもその理由があるとすれば、ここら辺に違いが出てくるのかな、と思ったりします。

 私が高校時代、寮生活をしていたのですが、ちょっと宗教的な学校だったため、人より多くいいことをすれば、よりいいことが起こる、なんて話が普通にされてました。そこで一部には、朝早くとか休憩時間とかに、せっせと自主的な清掃活動などをしている人がいました。それを「積極善」なんて言葉で奨励していたのですが、新興宗教によくありがちな活動です。ですが、中には決められた普段の清掃時間にサボりまくってながら、そういう余計な清掃活動にだけは精を出しているアホがいました。私もその一人だったかもしれませんが。
 
 これは自分らしいあり方なんてものではなく、単なる自分勝手でしょう。結局のところ、「あたりまえ」のことができる人間。それが一番なんだと思います。実際、寮生活でも見ていたら、そういう屈折した清掃活動をしていた人間はどこか変でした。何かと不平不満ばかりで。一方、決められた清掃時間もきちんとやり、その上で自主的な清掃もする。普段の生活態度から見ても、とても見習うべきものがありました。そのまた一方、決められた清掃はいいかげん、そして自主的な活動もなし。これはこれでいいし、現に社会に出てから成功している人間もいます。


 あるところに二人のおばあさんがいました。名はおヨシとおケイと言いました。家はお隣同士。

 おヨシは誰にでも親切で優しく、近所でも評判のおばあさん。今日も近所の家だけでなく、となり村の親戚のご近所にまで出かけて、せっせとおすそわけに励んでいます。一方、おケイはよけいなことは一切せず、ひたすら田畑を耕しています。掃除も家の周りだけちゃっちゃとやって終わり。

 そんな二人ですが、おヨシは頬がこけ、目もくぼみ、見るからに貧相な格好であるのに対し、おケイはいつも福々しく顔ツヤもよく、今日も元気に野良仕事に出ています。

 近所の人たちは、そんなおケイをよく思ってなく、「あの婆さんは強欲だから自分だけ太っている」なんて蔭口をたたくのです。一方のおヨシに対しては、とっても評判よく、お米やお味噌がなくなった時も、催促なしで貸してくれます。おヨシの家も本当は苦しいのに、困っている人を見ると放ってはおけないのです。

 ある年、その村は日照りで水が不足して、収穫もいつもの半分以下でした。どの家も食べ物に困り、赤ちゃんにあげるお乳もまともに出ません。おヨシの家にお米を借りに行っても、あいにく、自分たちが食べるものさえないあり様です。

 そんなときにも関わらず、おケイだけはあいかわらずふくよかで顔色もすこぶるよし。近所の人たちは、そんなおケイをやっぱりよく思ってなく、集まっては蔭口をたたいています。

 ある日、若いお母さんが、どうしてもお乳が出なくなって、赤ちゃんがみるみるやせ細ってきました。野菜やお米を借りようにも、どの家も食べ物に困っている状態。そのお母さんは、背に腹かえられず、周りの忠告も聞かずにおケイの家にお米を借りに行きました。

 するとどうでしょう。おケイはいつもの福々しい笑顔で、快く貸してくれたのです。お米だけでなく、お野菜やお魚まで。おまけに「困った時はお互いさま」と言って、村人たちにもわけてあげるから、とその若いお母さんに伝えたのでした。

 おケイは毎日の野良仕事のおかげか、田畑も肥え、多少の水不足でもそれを補うだけの養分があったのです。土がよければ、多少水がなくても作物は育つもの。日頃の手入れのおかげで、おケイの畑からはいい香りさえしていました。

 おまけに去年の古米もたくさん残っており、野菜の保存も上手なので、おケイの家だけは食べ物がふんだんにあったのです。若いお母さんの話を聞いた村人たちは、次々とおケイの家にお米やお野菜を借りに行くのですが、どの人に対しても快く貸してくれるのです。

 その年はおケイのおかげで無事に正月も迎えられ、おケイは村人からは「福の神」と呼ばれ、感謝されたのでした。




 以上の話は、私が今考えた寓話です。一種のメタファーなので、その意味するところは、読者の方それぞれに感じ取ってほしいのですが、メールで解説を求められても面倒なので、今、解説しようと思います。

 親切なおヨシと、一見、強欲なおケイ。最終的にはおケイは「福の神」などと呼ばれて、村人からの信頼を得るのですが、おそらく最初はおヨシの方に感情移入されたのではないかと思います。おヨシがハッピーになることを望んだのではないかと思います。

 おヨシはいつも周りのことを考え、せっせと世話したり、おすそわけに励んでいます。一方のおケイは基本的に自分本位。ただ、ここで重要なのは、おヨシは誰かに頼まれてやってるわけではないということです。その慈愛の精神は大切かもしれませんが、食べ物に困ってない時におすそわけされても、本当に喜ばれるかどうかはわかりません。

 一方、おケイは強欲と思われても、自分からおすそわけに行かないだけで、誰からも頼まれてないんですね。人はおケイの悪口を言うだけ。おケイはそんな悪口なんか気にせず、せっせと野良仕事に励んでいる。つまり自分のすべきことをちゃんとやってるだけなんです。

 現代風の言い方をすれば、おヨシは「いい人」と言われます。「いい人」と言われることで、自分自身を守ろうとするわけです。もしも「いい人」と思われなければ、村人から仲間外れにされるのではないかと思うのです。現代でも「いい人」と呼ばれる人はそこら中にいます。しかしその「いい人」が本当に幸せかどうかはわかりません。

 わかりやすい例をあげると、「いい人」と呼ばれる男性が女性にモテるとは限りません。「いい人どまり」と言う言葉があるように、「いい人」なんだけど、恋愛の対象にはならない男のこと。ぎゃくに「ちょい悪」くらいの方が、女性にはモテます。

 だからと言って、その「いい人」は「いい人」である仮面を脱ごうとはしません。それを脱いでしまうと、今の心地よい状況を失ってしまうかもしれないからです。嫌われるくらいなら、「いい人」のままでいた方がいい。その思い込みによって、自分自身をどんどん硬直化させているんですね。これぞまさに潜在意識のプログラミングです。

 おヨシの例でいえば、「米を貸してくれ」と言われて、貸さなかったら自分の評判が悪くなる、と勝手に思い込んで、貸すのが当たり前になってるんです。本当は苦しいのに。一方のおケイは自分からわざわざ貸しに行かない代わりに、「貸して」と言われたら快く貸しています。人からの評判なんか気にせず、自分のやりたいことをやっていて、そして困った時にはきちんとそれに応えている。

 おケイが強欲だなんて、村人の勝手なレッテル貼りに過ぎません。そうやって悪口に励んでいる間も、おケイはせっせと野良仕事。田畑の立場からすれば、悪口ばかり言ってる村人と、せっせと世話してくれるおケイと。どちらに愛情を感じるでしょうか。言うまでもありませんよね。

 ナポレオン・ヒルの「成功の黄金律」に「自分がして欲しいと思うことは、何よりまず他人にそうしてあげることだ」と言うのがありますが、おヨシの親切は本当に「自分がして欲しいと思うこと」なのでしょうか。もしかしたら、単に「評判」を維持したいだけの行いなのかもしれません。

 五日市剛さんは、お金に好かれるためには、「そのお金を受け取る相手が心底感動するような与え方、使い方をすればいい(「ゴールドラッシュ10頁」より)」と言います。おケイがいつも福々しいのは、もしかしたら普段からその「与え方、使い方」をしていたからなのかもしれません。

 ややもすると「いい人」を演じるだけの親切心。一方で、普段からきちんとやるべきことをやった上で、いざと言う時には、人を心底感動させるようなあり方。どちらがハッピーになるでしょうか。どちらが「宇宙」から愛されるでしょうか。


 と言うわけで、前置きが長くなりましたが、私も次回の清掃活動はきちんと参加したいと思います。

 ところで、昨日、ちょこっとアナウンスさせて頂きましたが、11月29日に「【天使企画第二弾】パワーアップ無料ショートコーチング」を開催させて頂きたいと思っています。これは誰のためにするのか。正直言って、自分のためにするのです。「菩薩行」という言葉がありますが、一見他人のためであっても、すべては自分のため。毎年一回、この「菩薩行」をさせて頂くことで、少しでも受けられた方がハッピーになり、それがどこかで自分に返ってくる。それが「行」の本質だと思っています。そんなわけで、ピンと来た方はどなたでもご気軽にどうぞ。

 ありがとうございました。

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Commented by 意外君 at 2008-11-22 08:39
ふー久々にここに帰って来ました。
滝に興味があり、その昔検索して、宇宙となかよしを知って
よかったなーと思った。
Commented by katamich at 2008-11-22 20:41
■意外君
また滝場でお会いしましょう!
私にとってはこれからオンシーズンです。
by katamich | 2008-11-20 23:42 | ■人生哲学 | Comments(2)