日本人であること 2004.6.22
2004年 06月 22日
カレー屋でいつものように手で食べていたら、隣のお客さんから「ここは手で食べないといけないんですか?」って。「そうです」と答えておけばよかったかな(笑)。
ところで、つい2~3週間前からコピーライターの糸井重里さんの発行しているブログを読むのが日課になっています。これは素晴らしいです。毎日糸井氏本人の文章が更新されている上に、糸井氏と親交のある著名人の文章が立ち代りデイリーに連載されています。どの文章もライトな感覚で読みやすく、思考の幅を広げてくれます。
前置きが長くなりましたが、今日のブログには「かっこいいオトナ」というシリーズで、ボサノバの創始者ジョアン・ジルベルトが紹介されていました。私の自己紹介にもあるように、ジョアンはかなりフェイバリットなアーティストです。
彼は昨年、初来日したのですが、その時のエピソードが紹介されてありました。簡単に言うとこうです。
「講演の3日目、全ての演奏が終わり拍手を浴びている時、突然、ジョアンが微動だにしなくなった。その間20分間。そしていっこうに鳴り止まない拍手の中、静かにアンコールを歌いだした」、と。
どういう事かと言うと、20分もの間、ジョアンは拍手とともに観客の心を全身で浴びていたというのです。その翌日の講演でも沈黙があり、最後に「a-ri-ga-tou」。そして「こういう観衆を何年も求めていたんだ」、と。
さらに、同じようなことが最近もありました。しつこく登場させますが、「冬のソナタ」のサンヒョク、ことパク・ヨンハがプロモートのため来日した時のことです。5,000人もの観客から拍手喝采を浴び、最後には歌いながら感極まって涙ぐんだということです。そして、「実はこれほど多くのファンの皆さんが集まっていただけるとは思いませんでした。きょうのことは一生忘れません」、とパク・ヨンハ。
普通はジョアンやパク・ヨンハのようなカリスマ(?)は、我々一般オーディエンスに感動を与えてくれるものですが、彼らは同時に我々から感動を持ち帰ってもいるのです。
実はこれは日本という国ならではのことだと思います。ジョアンの故郷のブラジルでは、歌を聴くのもつかの間、かってに踊って騒ぎ出すことも日常だとか。欧米でも演奏中に席を立ったり、歌っているのにブーイングしてみたり、わざと奇声をあげたりすることが多いそうです。
しかし、日本人は誰が来ても優しく迎え、静かに耳を傾け、最後には盛大な拍手で称えます。この日本人の拍手には「心」が宿っていると思います。始めて来日する外国人は、例外なく日本人のこの「心の拍手」を浴び、感動して帰っていくものです。誰が言ったか忘れましたが、ある著名な外国人は日本人にして「世界一ラブリーな国民だ」と言ったそうです。
私はそのような日本人のメンタリティを同じ日本人として誇りに思います。私は別に国粋主義者ではありませんが、真にそう思います。
そして私自身にもこのメンタリティが備わっていることを自覚し、多くの人に「よい心」を浴びせていきたいと思います。
(写真は切ないサンヒョク-パク・ヨンハ)