言いたいことを言う 2004.5.21
2004年 05月 21日
実は、それがなんともイライラする仕事なのです。
その仕事には○○長などと呼ばれる「偉い人」たちがたくさん参加されます。
会議の場ではみなさん活発に意見を言われるのですが、客観的に見ると、おなじ話の繰り返しであったり、コンテクストに関係のない言いっぱなしの意見などが多いのです。
私はコンサルタントなので、有益な意見をたくさん言うことを求められているのですが、実際に、それが「偉い人」の意見と反することがあってはなりません。
同じコンサルタントでも、経営コンサルの場合は目的が「クライアントの利益(金)」にあるので、よいことはどんどん言うべきなのですが、行政相手の建設コンサルでは、本音のところ「クライアントの体面」が目的であることが多いのです。
ですので、あまり口を出して我々の意見が波紋を呼んでしまえば行政の方も収拾に困り、仕事のスムーズな運営が妨げられる恐れがあります。
意見を求められても本当に言いたいことが言えない。建設コンサルのつらいところです。
しかし、ここに来て言いたいことを言える場が出てきたのは、私にとって実に幸運なことです。
それは、市民参加のワークショップ、ホームページ、そしてNPOです。
市民参加のワークショップについては、ここにも登場しましたが「春日まちづくり塾」がそうです。そこでは、仕事で言えない企画を自由に出すことができます。
ホームページはご承知のとおり、言いたいことを言わせてもらっています。今後は内容の質を高め、クライアントにもファンを増やしていきたいと考えています。
そしてNPOです。NPOもいろんな業種があり、最近では我々コンサルと競合するケースも多くなってきました。つまり民間の「営利」か「非営利」かの違いで、実際には同じ仕事をすることがあるのです。
しかし、民間コンサルとNPOとでは決定的に違う点があります。それは民間コンサルがクライアントとの「委託契約」の元で「従」の立場にあるのに対し、NPOでは「非営利」の性格もあり、クライアントと「対等」の立場に立てるのです。
とは言うものの、NPOとてその資金源はわれわれと同じ「委託契約」によることもあります。
それではなぜ、NPOだと「対等」の立場に立てるのでしょうか。
私が思うところを簡単に整理すると次のようになります。
①民間コンサルの目的が「利益」であるのに対し、NPOでは「いかに地域をよくするか」が本音の目的であるため、クライアントと意思を共にすることができる。
②民間コンサルの技術が「各企業ごとの特殊技術」であるのに対し、NPOの技術は「ネットワークによる総合技術」である。
大きく分けるとこの2点でしょう。特に②は重要な要素です。
民間コンサルの場合は、技術力を蓄積しそれを売りにするのですが、それはあくまで自社内における技術蓄積であり、かつ、外部に漏らしてはならないという原則があります。言い換えると、特殊技術の蓄積と企業秘密の徹底により、他社との「競争」力をつけることが民間コンサルの使命であると言えます。
一方、NPOの場合は内部に理事として、研究者、会社経営者、弁護士、行政職員など様々な経験と技術をもつスタッフが名を連ね、それだけでも技術があるのに加え、志を同じくする関係機関と協力し合いながら、地域をマネージメントしていくことができます。
言い換えると、一般技術の集合と情報公開の徹底により、多くの関係機関と協力しながら「地域をよくする」という本来の目的を果たすことができると言えます。
実は別にテーマを掲げて書きたいのですが、これからの時代は、「競争」ではなく「協奏」が重要であると考えています。つまり「競争」から「協奏」へのパラダイムシフトが数年以内に起こることでしょう。
それが実際に起こるとなると、NPOはまさに今後主流になっていく形態だと思われます。
現在、私は社外で3つのNPOと関わり、勉強させてもらい、様々な情報を頂いています。
そして、本日はその1つである「環境NPO」の会合に出てきました。会合には遅れたので実際には飲んできただけなのですが、実に有意義な時間を過ごすことができました。
これからの未来はますます明るくなって行くと信じています。