もうひとりの自分 2007.12.13
2007年 12月 13日
ところで、先日読んだ石井裕之さんの「人生を変える!『もうひとりの自分』とうまく付き合う方法」という新刊についてですが、今回もやられてしまいました。このシリーズの最初の「心のブレークの外し方」では、「潜在意識の現状維持メカニズム」という概念を拾い出し、それ以降、私のコーチングや生活そのものに大きな変化がもたらされました。そして今回の新刊ですが、もうネタもないだろう、と思っていたのが、やっぱり大きな気づきをもたらされました。
「もうひとりの自分」は、ずばり「潜在意識」のことなんですが、理屈ではわかっておきながら、実はまだまだ「もうひとりの自分(潜在意識)」との付き合い方が上手でない、ことを認識するに至りました。この本のサブタイトルとして「思い通りに自分を動かす4つの法則」とありますが、どれも今まで聞いたような話であるにも関わらず、アプローチが違うだけで、よりしっくりくる部分がありました。簡単に紹介しますと、、、
1.「ひっくり返り」の法則
これは私自身も非常に大切にしている概念です。つまり潜在意識の世界では「原因」から「結果」へと不可逆的に進むのではなく、逆に「結果」によって「原因」がもたらされることもあるのです。なんだかわけわかりませんが、簡単に言うと、こういうこと。ダイナマイトモチベーションの話から引用しますと、「女にフラれて(原因)」「その女の悪口を言う(結果)」ではなく、そもそもその人が「女の悪口を言う人間」だからこそ「女にフラれる」と考えるのです。もしここで、フラれたとして、真に心からその女性の幸せを願えるような人間であれば、そもそもフラれていないという理屈です。
また、「ひっくり返り」の法則は、主客の関係にも成り立ちます。人を批判する、という行為は、同時に自分自身を批判していることにもなるのです。潜在意識の世界ではそもそも「主客」という概念がありません。以前、なぜにか「ぶっ倒れますよ」と言われたことがありますが、それを言った人は、その数時間後にぶっ倒れました(が、私はぶっ倒れていません)。人に発した言葉は自分に返ってくる、と言われますが、返ってくると言う以前に、その時点で自分に対する言葉でもあったのです。
この点、実は私にとっての「もうひとりの自分」の反省すべきところなのです。この1~2年で、自分にとってよくないことが起こった時、その「原因」をじっくりと考えてみると、そのほとんどすべてにおいて、「他者への批判」があったのです。もちろん「愛」のある批判であればいいのですが、私の場合は、自分を高めるための批判であることが多いように思いました。しかも、つい言ってしまうのでしょうか。詳しい事例は書きませんが、表面的にはニコニコしていながら、内面的にはどこか「批判的な自分」がいた(いる)ことを認めなければなりません。これは改めて大きな気づきです。今さら何を、と言われそうですが、それは事実として素直に受け入れるべきでしょう。NLPの日韓ディレクターでありマスタートレーナーにアンナ・スウィルという人がいるのですが、彼女が提唱するNLPの大原則に「慈愛(compassion)」「気づき(awareness)」「無批判(non-judgement)」というものがあります。これを三角形の頂点として、自らがその中心に置かれている状態こそが最も理想的な自分であるとされます。ちなみに「慈愛」は「相手を尊重する」「人は常に最善を尽くしている」であり、「気づき」は「新しい道が開ける」、「無批判」は「ジャッジメントしない」「アドバイスしない」がその中味となります。正直言って、最初、これを聞いたときはあまりしっくりきませんでした。今もまだまだ分かっていないのでしょうが、ここ最近、何となく大切だということに気づいてきたような気はします。
話がそれましたが、私の中の「もうひとりの自分」にとって、とても重要なことが気づかされた瞬間がありました。石井さんのこの新刊は、まさしく今の自分に必要なメッセージが託されていたのでしょう。
それから蛇足になりますが、ここで書かれてある「夢(夜見る)」の話はなるほどと思いました。時々、ものすごい長編大作の夢を見ることがありますよね。例えば「アメリカに行って、ホームステイして、メキシコ料理食べて、飛行機乗って、いろんな人と出会って、ニューヨーク行って、さまざまな出来事があって、ジャズクラブに行くとコルトレーンがいて、そこでジャイアントステップスを演奏し始めた途端に目が覚める」みたいな夢が。これは私の体験です。私の目覚ましの曲が「ジャイアントステップス」なんですが、何でこんないいタイミングでそれが鳴るのでしょうか。目覚ましを聞くのに、夢の中でアメリカに行く必要などありません。あたかも目覚ましが鳴るタイミングを見計らってアメリカに行っているような感じです。ま、目覚ましの場合は鳴ることがわかっているのですが、本書では「マシンガンとバイク」という話で説明しています。超大作の終盤、マシンガンで打たれた瞬間目が覚めるのですが、気づくと外にうるさいバイクが走っていたという話です。これなどはバイクが走ることはわかっていなかったのに、それに到達するような超大作を見ていたのです。あたかもバイクが走ることを前提としてような夢です。これなどは、本当に「潜在意識には過去未来がない」というわかりやすい例だと思います。いい説明だな~やられた。
2.「生まれ変わり」の法則
つまり「潜在意識」は毎日リニューアルされており、睡眠がそれを助けている、ということです。失敗や挫折があっても、それは自分をステップアップするためのツールであり、新たな生まれ変わりのタネということです。変な話ですが、とりあえず「寝ろ」ということ。詳しくは本書をお読みください。
3.「リズム」の法則
習慣こそが最強のアファメーション、という話です。これもよく言われます。私の友人で臨床心理士の女性がいるのですが、彼女のセッションをちょっと聞かせてもらったとき、面白い話をしていました。とにかく「治りたい」という患者に対して、「毎晩コップの水を入れ替えなさい」という指示をしたそうです。半信半疑ながらそれを一週間実行したところ、劇的に改善したという話です。なぜか。
4.「言霊」の法則
これも面白い話でした。言ったことは現実化する、とよく言われますが、必ずしもそうでないことを多くの人は実感していると思います。「TOEICで800点とります」と宣言して、紙にも書き、新月にも願い、しているのに、なかなか点数が上がらない。なんでだろう、と考える前に、「勉強してますか?」という問いをかけたいのですが、それ以前に、これはとても恐ろしいことです。つまり「800点とります」という「言霊」が「達成されない」ことへの暗示として形成されてしまうのです。つまり、あまり無茶な目標を立てて、それに向かって何の努力もしてなければ、当然、達成できないばかりでなく、「言霊」それ自体が逆に達成できないことを覚えてしまうのです。そうなってしまうと、言えば言うほど達成できなくなります。恐ろしいですね。
この場合、リハビリが必要になります。例えば「私は水を飲む」という宣言(言霊)をしてから、水を飲むようにします。するとその「言霊」は実現を覚えます。つまり実現する「言霊」へと力をつけていくわけですね。
目標を立てることは重要です。そしてそれを宣言することも同じく重要です。しかし、もっと重要なのは、具体的な「行動」に他なりません。新月の願い事として、結構、無謀な願いを書いている人っていると思います。ここで一つ念を押したいと思います。私が「新月の願い事」を知ったのは2005年の3月です。ある成功者から直接教えてもらったのですが、その時に言われたのは「願い」ではなく「目標・計画」でした。それもやれば確実に達成できるようなもの。ここで「目標・計画」を立てたのであれば、「月」に信託したことと同じなので、それに向かって確実に「行動」しなければなりません。成功者はそうやって成功していくのです。
ですが、ここ最近、「月に願えば叶えてくれる」のような意味に取り違えているような既述をよく見かけます。目標は大きくは立派ですが、大きければ大きいほど、それにともなう「行動」が必要なのは言うまでもありません。今日、言ったばかりで、これも「批判」にとられるかもしれませんが、これは私のポリシーでもあります。と言うか、コーチングする上での職業使命感でもあります。目標を持つのだけど、あまりに達成できないでいることが多い事実があります。
ちなみにコーチング理論のベースに「GROWモデル」と言うのがあるのですが、これは目標達成のプロセスをいい表したものです。GはGoal(目標)、RはReality(現実性)、OはOppotunity(機会)、WはWill(意志)で、それぞれの頭文字をとるとGROW(成長)となるので、いい語呂にもなります。これに従えば、こんなセッションができます。
「来月までに何か達成したいことはありますか?」
「TOEICで800点とることです」→「G:目標」
「その目標は現実的ですか?」
「今、200点なので、ちょっと現実的でないですね」
「それでは、どのあたりまで目標を調整しますか?」
「とりあえず点数にこだわらず、一日、一時間、必ず英語の勉強をします」→「R:現実性」
「一日、一時間ですね。それをするための時間を取ることは可能ですか?」
「朝、5時に起きて時間を作ります」→「G:再・目標」
「毎朝、5時に起きるということですか?そのことに充分な現実性を感じますか?」
「いや~考えみると、今寒いし、毎日5時は厳しいかも」→「R:再・現実性」
「それでは一日一時間の勉強時間はどのようにしてとりますか?」
「寝る前一時間はどうでしょうか。ネットサーフィンしている時間を一時間減らしてそれを勉強にあてるのです」
「それなら充分な可能性はありそうですか?」
「はい、大丈夫です。とりあず10時から11時までは英語の勉強にあてます」→「O:機会」
「わかりました。毎晩10時から11時までは英語の勉強ですね。では次回のセッションでは、その達成の度合いについてまず確認したいと思いますが、よろしいですか?」
「はい!」→「W:意志」
こういう流れが、いわゆるコーチング的なコーチングです。ただ、私のセッションは、半分セラピーみたいな要素もあるので、必ずしも型どおりのものにはなりません。時として、突然、トランスに導くこともありますので。もちろんクライアントさんには気づかれないように。
話を元に戻しますが、新月の願いや紙に書く願いについて、多くの人が失敗する原因がここにあります。つまり「G:目標」は大きいのですが、「R:現実性」をまったく検討せず、そして達成のための「O:機会(手段)」もわからず、オマケに中途半端な「W:意志」です。紙に書けば潜在意識が勝手に実現してくれる、なわけありません。神田昌典さんは「紙に書けば実現する」と言いますし、私もそれは否定しません。また、それを実感している一人でもあります。しかし、それにはやはり「理由」があるのです。すでに目標を達成する、夢を叶えるためのコンディショニングができているからです。OSの調整とも言えるでしょう。
話はまた元に戻しますが、本書で書かれてある「言霊の法則」は、そういうコンディショニングのために、もしかすると参考になるかもしれません。
なんだか変なレビュー?になってしまいましたが、今回も石井さんの本には勉強させられました。ありがとうございました。
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