人質 2004.10.27
2004年 10月 27日
確かにテロは許されることではありません。しかし、今回ばかりは日本中が首をかしげているようです。退去勧告があれほど出ているにも関わらず、青年はなぜイラクに行ったのか。
「そこにイラクがあるから」、なんてのはギャグにもなりませんよね。
しかし、私も元バックパッカー。青年の気持ちが全くわからないわけでもない、といったら怒られるでしょうか。ちょうど、7年前、青年がイラク出発前に立ち寄ったアンマンに私もいました。その頃は、フセイン政権真っ只中で、日本人はイラクのビザを手にすることが出来ませんでした。
アンマンという街はヨルダンの首都ではあるのですが、これと言った見所もなく、もっぱら通過するだけか、イスラエル、死海への足がかり、もしくはイエメンに行くために滞在するところでした(ビザと飛行機の取得のため)。しかし、昨今は「イラク行き」のための拠点にもなっていたようです。
バックパッカーはアンマンではもっぱら二つの宿を選択していました。一つは私が泊まったファラホテル。これはルーフドミトリーが快適で安く、私が数年ぶりかに「夢精」を経験したところです。
そしてもう一つが、高藤さんら3人の人質、今回の青年が足がかりとしたクリフホテルです。クリフホテルはファラホテルに比べると、ボロい印象があるのですが、日本人が多く情報ノートも充実しているということでした。ノートが充実してるというだけに、最近ではおそらく「イラクへの道」なんて情報も満載だったことでしょう。
人質になった香田さんもクリフホテルでイラク行きを決意したんでしょうね。おそらくこんな会話が交わされていたことでしょう。目に浮ぶようです。
(クリフホテル・ロビーにて)
A氏:イラク行ってきましたよ。
香田:マジですか!?、どうやって行くんですか?。
A氏:ここの情報ノートに書いてあるけど、○○のバスで国境まで行くやろ。国境まではすぐやけど、その後、トータル丸一日かかるからめっちゃきついですよ。イミグレではとりあえず、10ドル賄賂払って、国境を越えたらピックアップの客引きが寄ってくるから、バグダッド行きに乗ったらええですよ。でも、車めっちゃボロイし、道もガタガタやから結構しんどいですよ。アンマンから国境までの数倍はかかるんちゃいますか。途中何回か、ポリの検問があるけど、何か聞かれたら「ジャーナリスト」って言えば通してくれるで。
香田:ビザとか要らないんですか。
A氏:パスポートチェックはするけどスタンプもなし。イミグレの連中は賄賂ねらいやから。
香田:へえ、バグダッドどんなんでした?
A氏:思ったより普通やったかも。一応、ミネラルウォーターも売ってるし、マーケットも出てるし。爆撃跡は痛々しかったけど、市民生活は結構普通ちゃうかな。暗くなるのは早いけど。
香田:宿とかどうなんすか?
A氏:外人やからジャーナリスト専用で最低でも50$。でも俺の場合、ピックアップで知り合ったイラク人のおっちゃんが親日家で3日間家泊めてもらってん。自衛隊って一般の人には結構歓迎されてるっぽかったなあ。反米はけっこうきついけど。
香田:飯とかどうなんすか?
A氏:俺の場合、イラク人の家にいたから実際どうかわからんけど、レパートリーはめっちゃ少ないんちゃうか。鳥の丸焼きくらいしか見てへんし。シリア以下かも。ジブン、これから行くん?
香田:最初、ニュージーでワーホリやってたんすけど、期限切れたんで、働けるところということでキブツ(イスラエルのコミュニティ)にいたんすよ。そしたら、パッカーも結構イラク行ってるって話聞いたんで、俺も行こかな~って思っているんすよ。やっぱり、ここまで来たからには「行き」ですかね。
A氏:あえて「行き」とは言わんけど、まあ後は、「自己責任」で(爆笑)。でも、日本人やったら行けるんちゃいます。結構親日やし。
香田:宿が心配なんですけど。
A氏:俺もそうやったけど、結構、イラク人フレンドリーやから、誰か泊めてくれるんちゃう。危ないからはよ帰れ言われるけど。でも、なんとかなるんちゃう?
香田:へえ~。なんかものすごくテンションあがってきましたよ。
A氏:俺が勧めた言うたらあかんで。俺は止めたからな。後は「自己責任」やで(爆笑)。
香田:(爆笑)
こんな感じです。あくまでこれは全て私の推測です。登場するA氏ももちろん架空の人物です。
しかし、これは典型的なパッカーの会話ですね。あまり頭はよさそうではないです。7年前もタリバン政権が生きていた時分にアフガンに入ろうとしたパッカーを見ていたので、なんとなくわかるものです。
今日は新潟の親子救出や島田紳助の暴行事件など、いろんなニュースがあった日でしたね。私としては、人質事件からちょっと目が話せません。なんだか他人事でない気もするし。
とは言うものの、香田氏のことは理解が得られにくいのも確か。もう少し頭がよければ行かなかっただろうに、と言ったら不謹慎ですか。とりあえず、無事の救出を祈ります。南無阿弥陀仏。
(写真はクリフホテル)
自分も五年前に中東を回ったんですけど、
そのときは、アメリカが空爆したおかげで、
イラク行けませんでしたw
でも、その時もいましたね。危険承知でイスラエルの
パレスチナ自治区に入ろうとしてる人。
インテリファーダが起こってるのに、投石を見に行ってるのは
理解に苦しみました。ゴム弾にあたると痛いのに・・・
このサイトには偶然行き着いたんですが、また時々見に来ますね。
それでは、ご繁盛を願いつつ失礼させていただきます。
ピラミッドに登るノリで、、、、同感です。
クリフホテルには恐らく「バグダッドへの道完全マニュアル」なんて情報ノートがあるんじゃないでしょうか。
現に最近までも多くのパッカーがイラクに行ってるようですし。
いろんな意見があるでしょうが、香田さんも無事に帰ってきて欲しいものです。
帰ったら帰ったで社会的な制裁が待っているでしょうが。。。