宮本文昭ファイナルコンサートin福岡 2007.1.12

(昨日の記事は追加分があります)
(私信)1月11日午前0時過ぎにお試しコーチングのお申し込みをされたY.T.さんへ。返信のメールを送っているのですが、エラーで戻ってきます。状況をお確かめいただければ幸いです。もし解決されない場合はミクシィへご招待しますので、そこでのメッセージのやり取りは確実です。どうぞよろしくお願いいたします。

宮本文昭ファイナルコンサートin福岡 2007.1.12_b0002156_2231384.jpg 今日は久々にコンサートに行ってきました。福岡で一番大きなホール、アクロスシンフォニーホールでのコンサートです。出演はオーボエ奏者の宮本文昭さん。ご存知の方も多いと思いますが、宮本さんは今年の3月31日でオーボエ奏者を引退します。二度とオーボエ奏者としてステージに立ったり、レコーディングしたりすることはなくなるそうです(後進の指導はするそうですが)。今年で56歳。音楽家としても器楽奏者としても、これからますます油が乗ってくる年齢です。でも引退です。今日のコンサートはなんと2000人以上のお客さんが詰め掛けていました。オーボエという楽器でこれだけ集めるってスゴイと思います。お客さんの多さってのは、プレイヤー人口にもある程度比例すると思います。ピアノやヴァイオリンだと、大御所のコンサートならすぐに完売するし、管楽器でもフルートやサックス、クラリネットあたりだと、比較的入りやすいとは思います。でもオーボエってのは、オケでも吹奏楽でも、いても2、3人しかいないし、趣味で一人で吹くには値段も高くてデリケートな楽器です。楽曲にしても、9割以上がクラシックで、そのクラシックにしてもメジャーな曲はバロック、モーツァルト、Rシュトラウスくらいしか思いつきません。なので「のだめカンタービレ」で黒木君がモーツァルトのコンチェルトを吹いているのは嬉しく思ったものです。

 そんなオーボエ、って言ったら失礼かもしれませんが、そんなちょっとマイナーなオーボエで2,000人も集めるなんてさすがは宮本文昭です。でもその宮本さんでも、プロになって最初にリサイタルをしたときは、親戚や友達総動員して、そこそこ集まったそうなんですが、2回目は7名、3回目は11名しかお客さんが来なかったそうです。ま、無理もないです。そんなもんでしょう。今回は引退直前と言うのもあるのでしょうが、それでもやっぱりあの集客力はすごいし、何より初めて生で聴いた宮本文昭はすご過ぎでした。曲目はポピュラーなクラシックがちょこっとと、後はフュージョンぽい選曲でした。当然、NHK連続テレビ小説「あすか」のテーマ曲もあります。この曲は私がまだ学生の頃、朝起きたら、必ずテレビを付けて聴いていた曲です。ドラマは見てないのですが、8時15分になるとNHKをつけて、とりあえずこれだけ聴いて消していました。初めて聴いたときは、ちょうど寝起きで夢見心地で聴いたのが、あまりにも気持ちよかったので、それから毎日聞く習慣ができたのです。実はその時期、私は激やせ中でありました。失恋のショックを引きずっている時期だったと思います。そんな時に、あのオーボエの音色はちょっと切なかったです。

 宮本文昭という奏者の名前自体はそれ以前からも知っていました。高校時代から知ってたと思います。私が始めてオーボエの音色にほれ込んだのは、中学3年生です。それまで部活の先輩の上手でないオーボエしか聴いたことなかったところ、たまたま購入した「モーツァルト、クラリネット五重奏曲&オーボエ四重奏曲」は衝撃でした。ちなみにクラ5はクラリネットが5本、オーボエ4はオーボエが4本と思っていました。最初にクラ5をかけたとき、いきなり弦楽器の音が聞こえてきて、「なんじゃこりゃ!」と思ったものです。それぞれ管楽器一本の弦楽器の編成なんですが、当時、私はそれさえも知りませんでした。これまで何度も言ってきたと思いますが、その時に聞いたクラリネット五重奏曲のおかげで、部活を辞めることを思いとどまりましたし、今でも下手の横好きで続けることができているのです。中3の暑い夏でした。とにかく感動しまくったのです。クラリネットはベルリンフィルのカール・ライスター。そしてオーボエ四重奏曲のオーボエは同じくベルリンフィルのローター・コッホ。このコッホの音たるや。。。これがオーボエなんだと、目からボロボロ鱗が落ちました。その後、部活の先輩はともかく、プロのオーボエ奏者の演奏も聴きました。ベルリンフィルの主席だったシェレンベルガーも生で聴きました。ハインツ・ホリガーなんかのCDも何枚か持っています。でも最初にコッホのオーボエを聴いた時のような衝撃がないのです。上手いことは上手いんでしょうが、なんか心に訴えかけるものが感じられないのです。

 そこに来て、ようやく素晴らしいオーボエに出会うことが出来たのです。確かモーツァルトだったと思います。それが宮本文昭でした。え、日本人!と思いました。宮本のオーボエを言葉ではいくら言っても伝わらないと思うので言いません。特に今日生で聴いてきたばっかりでは、言葉にするのはあまりにも陳腐です。そう言えば、一年前も宮本文昭のこと書いていたので、ちょっと引用しますね。今と同じこと言ってますね(笑)。


ところで、今日もテレビを見ていたのですが、とても感動してしまいました。「さんま玉緒のお年玉!あんたの夢をかなえたろかスペシャル」です。ある高校生が世界的オーボエ奏者宮本文昭と競演したいという夢をかなえるのです。実は私、宮本文昭のCDは結構持っていたりします。モーツァルトに始まり、ポピュラーっぽいのまで。人知れずちょっとしたファンだったりします。私が一番好きなのはあの「音」です。ややロマンティシズムに走りがちでしょうが、何を吹かせてもうっとりするような官能的な音を聴かせます。私の初のオーボエ体験はベルリンフィルにいたローター・コッホで、彼の音こそがオーボエだと思っていたので、その後、ハインツ・ホリガーを聴こうがシェレンベルガーを聴こうが全然ピンとこ来ませんでした。そこに来て宮本文昭です。コッホとはまた異質の音ではあったのですが、何かのCDで初めて聴いた時に雷に打たれるような衝撃を受けました。ちなみに今もCDを聴いていますが、脳の隅ずみにまで染み渡る官能的な演奏です。エクスタシーです。ジャズにしてもクラシックにしても、私はオリジナルでない日本人の演奏を好む傾向があるのですが、それは同じDNAを持つことなども関係してくるのでしょうか。やや、マニアックな話が続きましたが、その宮本文昭です。そうそう、NHK連続テレビ小説の「あすか」のテーマソングを吹いていたのが宮本文昭だと言えばお分かりでしょう。私は「あすか」自体は見たことないのですが、毎朝テーマソングだけ聴いてから出勤していました。



 宮本文昭がなんであんなに人気なのか、今日のコンサートで改めて知ることになりました。選曲がクラシックに偏らず聴きやすいとか、テレビに結構出てくるとかありますが、意外としゃべりが面白いのです。今日のコンサートでは3分の1はトークでした。オーボエ&トークショーと言っても差し支えありません。本人いわく「クラシック会のさだまさし」を狙っているとかいないとか(さだまさしもしゃべりまくるらしいですね~)。それにしても本当に今年の3月いっぱいで引退するんですね。絶対にカムバックはしないそうです。なぜ引退なのかは、いろんなところで言っておられますが、宮本さんはもともとオーボエがやりたいわけではなく、「音楽」がしたかったのだそうでうすね。そのきっかけとしてたまたま手にしたのがオーボエだっただけだとか。理由も面白いです。高校から始めても遅くないとか、難しいところは吹かなくても許されるとか、とても適当な理由だったようです。でも人生ってこんなものでしょう。高校からオーボエを始めて、そのまま音大に行って、ドイツに行って、ケルン放送交響楽団で30年あまり首席奏者を務めて、そして日本に帰ってきたのです。今や世界の宮本文昭です。

 オーボエ奏者としては、やれることはやった満足感があり、これからは総合的な音楽家として仕事をしていくそうです。オーボエ中心からの脱却です。4月からはさっそくラジオの仕事が始まり、それ以外にも指揮やプロデュースなど、引く手あまたのようです。でも確かにもったいないことはもったいないですよね。まだまだ宮本さんのオーボエを聴きたい人はたくさんいるだろうに。これからもオーボエでやっていけば宮本さんも楽なはずです。おそらくしょうもない仕事して叩かれる時期もあるでしょう。そんなことをすべて承知の上で、宮本さんは自分の「天職」を見つけようとしているのです。

 楽しい2時間半が終わりました。私は夢を見ているようでした。そう言えば私はこのコンサートに行くのは急に決まったのでした。前々から行こうとは思って、予約をするつもりでした。単純に忘れていたのです。今年に入ってから、思い出しましたが、きっといい席は埋まってるだろうな~と忘れようとしていました。もう、宮本文昭を一生聴かなければ聴かないでいいや、なんて諦めの境地に入っていました。ところが、3日ほど前、所属している吹奏楽団のメーリングリストに「宮本文昭のチケットあります」と入ってきたのです。その方もオーボエ奏者なんですが、本当は息子さん(小学一年生)と一緒に行くはずが、その息子さんの気まぐれか、急きょ行かないことになったそうです。ヤフオクに出す前に、楽団のメールに送ったところ、すぐに私が見つけて申し込んだのでした。S席7000円の指定席。中央に近い一番いい席でした。チケットを買わなくてよかったです。まるで私のために取っておいてくれたような席です。同じ7000円。申し訳ないですが、小学一年生のお子さんよりも私が聴いた方が価値はわかるはずです(笑)。めちゃくちゃツイてます。ありがとう、かずごん。

 てなわけで、高校の時から好きだった宮本文昭の、私にとって最初で最後のコンサートが終わりました。コンサートが終わると、宮本さんは感謝の念を述べながら、観客に深々と頭を下げます。拍手は鳴り止みません。前の方から順々に人が立っていきます。中ほどに座っていた私もゆっくりと立ち上がります。気がつけば会場はスタンディングオベーション。日本のクラシックコンサートでは初めて見る光景でした。しかし決して熱気と興奮溢れるものではなく、実に静かなスタンディングオベーションでした。コンサートの余韻を会場全体がしっかりとかみしめているような。涙ぐんでいるお客さんもいました。

 昨年、今年といろんな人が引退しますよね。私の大好きな新庄剛志、サッカーの中田英寿、格闘技の須藤元気などなど。彼らも宮本文昭と同じく、新しい道に進んでいくのです。大成功した道を捨ててまで新しい道に進みたいのです。今までの道に留まっていたら、本人たちも楽だろうし、何より我々お客が喜びます。やっぱり引退はファンにとって悲しいのです。でも彼らはそれを振り切って新しい道に進みます。彼らのこと、きっと新しい分野でも大いに我々を喜ばせてくれるでしょう。。。私自身はまだまだ成功の途上です。いや、まだ登山口にも立ってないかもしれません。でも、生涯かけて人を喜ばせるような仕事をしたい、そんな自分でいたいという気持ちは、彼らと同じです。少なくともそのつもりです。私はまだまだ彼らの足元にも及びません。でも、私も彼らも「これから」ということにおいては同じなのかもしれません。これからです。これから。そんなことを考えながら、冷たい夜風を自転車で切りながら岐路につくのでした。でも、胸のうちはなぜか暖かでした。


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【21日滝行日誌 7日目 晴れ 8℃】
今日もそこそこの冷たさ。でも最初の2分間はあいかわらずキツイ。なぜか映画の「海猿」を思い出してしまう。「海猿」は水の中で苦しそうだった。そんなことを考えると、滝の中が苦しくなってきた。身体が楽になると「海猿」もどっかに消えて行った。明日も「海猿」のことを考えてしまいそうだ。それを考えないこと、つまり「思いを捨てる」ことが改めて大切なことに気づいた。「海猿」との戦い。これも修行だ。
Commented by みっさん at 2007-01-14 00:53 x
新年おめでとうございます(遅
今年も元気なQちゃんでいてください♪

かずごんの言葉にぷっとふきだしてしまいました。
いいコンサートにいかれましたね。

いろんな縁が見えるようです。
私も去年ノアールの託児をしていなかったら
この長文読みきれなかったかもしれません。
のだめカンタービレも見なかったかもしれません。

暖かな雰囲気どうもありがとうございます(^^)
Commented by katamich at 2007-01-15 12:35
■みっさん!
あけましておめでとうございます!
今年も良い一年でありますよう!
by katamich | 2007-01-12 23:53 | ■音楽 | Comments(2)