大晦日は恒例の♪ 2006.12.31
2006年 12月 31日
私にとっては4回目のカウントダウンライブです。ツレと一緒に行ったのは3回目です。北村英治氏は今年でなんと77歳。失礼な話ですが、77歳という年齢は一般的に御歳を召していらしゃると言われます。しかし、北村氏は今もまだ現役。とは言うものの、年寄りなりの演奏なのかな~と思いきや、、、今年もまだまだバリバリの第一線であることを確認できました。と言うか、毎年パワーアップしているようです。一曲目に「素敵なあなた」というスタンダードを急速調で演奏したのですが、まったく乱れがなく、洪水のようにフレーズが湧き上がるのです。こう言っては失礼ですが、どんな大御所でも晩年と言われる歳の録音を聞くと、多少のよれよれ感は否めないのですが、北村氏には全然関係ないようです。お世辞ではなくマジです。私もそれなりにジャズを聞きこんでいますし、クラリネットも多少は吹いたりするので、自信を持って言えます。北村英治は今もまだ現役バリバリです。「味で勝負する」なんて言い訳の必要もありません。
北村英治氏は確か50歳になって東京芸大のクラリネットの教授である、村井裕児氏にクラリネットを師事しました。北村氏は高校くらいのときにベニーグッドマンを聞いて感動し、敵国の音楽と言われて恐々としている中、一枚のレコードを押入れの中で擦り切れるほど聞いたそうです。クラリネットが吹きたくても、肝心の楽器が手に入りません。なので竹箒でイメージだけの練習をしながら、クラリネットへの想いを深めていったそうです。そして大学に入学して、晴れて本物のクラリネットを手にすることが出来たのですが、その時既にベニーグッドマンのレパートリーを演奏できていたそうです。その後、在学中から研鑽を積み、卒業後も晴れてプロとなって活動を続けました。
しかし、当時、ジャズクラリネット界には北村氏の他に2人のスターがいました。クラシック出身でコープランドの協奏曲の日本初演を果たした経験を持つ藤家虹二氏、そして「鈴懸の径」で大ヒットを飛ばした鈴木章治氏です。当時、その二人に比べると、北村氏はどうしても遅れを取る存在だったそうです。藤家氏と鈴木氏はジャズだけでなく、演歌やポップスの世界でもひっぱりだこでレコードもバカ売れしていました。2人に比べると、北村氏のクラリネットはあまりにも正統派過ぎたのが災いしてか、音楽スクールで教えないと食べていけない状況であったそうです。北村氏は一時期ビバップにも傾倒していたくらいなので、本当にジャズを真摯にとらえていたんでしょうね。しかし、彼は突然、「モーニングショー」という朝の番組にレギュラーで出演するようになり、演奏だけでなく、料理やキャスターとしても活躍の場を広げるようになりました。彼の温厚な人柄と芸達者さが人気をはくし、文字通り「スター」となった時は既に頭に白髪が混じり始めていました。そこから北村氏はさらにクラリネットに磨きをかけようと、本格的に弟子入りしたのが50歳を過ぎてからでした。
当初、弟子入りを申し込まれた村井裕児氏は「50歳からでは上達は不可能」と言い、北村氏の弟子入りを断っていたそうです。しかしあまりの熱心さに根負けして、認めることになりました。そして最初の課題曲が「ちょうちょ」。ジャズクラリネット奏者として世界的な実力を持つ北村英治に「ちょうちょ」を吹かせるのです。しかも最初はそればっかり吹かせたそうです。下品に吹くな、ビブラートをかけるな、フェイクするな、アティキュレーションを丁寧になどボロクソに指導したそうです。しかし、やっぱり本物は違うのです。北村氏は「ちょうちょ」を一生懸命にマスターし(?)、モーツァルトを録音するまでに上達しました。かくして村井氏の「50歳からでは上達は不可能」という言葉がウソであることを証明し、現在、77歳で現役バリバリ。おそらく本当に100歳まで現役を続けることでしょう。
私が3人のメンターを選べと言われたら、その一人に間違いなく「北村英治氏」を選びます(後の二人は五日市剛氏、新庄剛志氏、、かな)。彼のビックリするほどのプラス思考と、温厚な性格、そして絶えない向上心。本当に素晴らしいと思っています。今日の演奏中も言っていました。「幸せだと思って感謝すると、まったく疲れないんですよ」と。まさしくその通りだと思います。そんな北村氏も原点は「竹箒」です。人間、信念があればどんな状況であってもできるのです。「~がないからできない」というのは言い訳に過ぎないのです。やろうと思えばできるのだ。彼のクラリネットを聴きながら、そんなことを思いました。ちなみに北村氏は弟子入りした村井裕児氏とのコラボでCDも出しているのですが、廃盤で入手困難だったものを、ヤフオクで格安で入手しました。CDが届いたのが今日でした。シンクロを感じます。
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