クラシックとジャズ対比 2006.10.29
2006年 10月 29日
【2006年10月27日18:08 モーツァルト】
ブログにモーツァルトのこと、ちょこっと書いたので、さっきから聴いています。
やっぱりすごいな~。神の音楽としか思えないですね。
中学3年生の夏にモーツァルトの「クラリネット五重奏曲」を聴いて、感動しまくって、涙流して、当時はそれこそ、朝起きたらまずテープをかけて、家にいるときはずっと聴いてました。
寮生活してたので、普段の日はモーツァルトが聴けなかったのですが、休みで帰省するとまずはモーツァルトです。中学の卒業祝いで初めてCDプレイヤーを買ってもらったのですが、初めて勝ったCDがモーツァルトの「レクイエム」と「歌曲集」。シブすぎですよね。
それから高校3年間はモーツァルトにはまりまくりでした。寮生活をしてたので、自由な時間は少ないのですが、唯一自由にになる土曜日の夜は一人でウォークマンでオペラを聴いていました。もちろん画像はないので、そのオペラに関する本やスコアを見ながらです。「魔笛」が一番好きでしたね。
高校卒業してからはジャズにはまって、以来、15年ほどはジャズラバーなんですが、40歳になる頃からまたモーツァルトにはまりそうな予感がします。
やっぱ永遠だと思います。
(以上)
こんな感じの中学高校時代を送っていたのですが、今よりもさらにシブいですよね。ただ、別に引きこもりがちなわけでもなく、当時から下ネタの王様だったりもしたので、そのギャップが面白がられていました。今はジャズですが、ミクシィ日記でも書いているとおり、この先はクラシックに再びはまることも十分に考えられます。ジャズとクラシックを聴いていると、結構、面白いことがわかったりします。いろんなジャンルに言えることなのでしょうが、「位置づけ」ってのがあるみたいです。不思議なものです。当然、クラシックとジャズの歴史の中でも、それぞれの位置づけや対比ってのがあるのでしょう。そんなこと考えたら、さらに考えたくなってしまいました。そこで、独断と偏見で、クラシックとジャズにおける作曲者・プレイヤーの位置づけと対比についてまとめてみました。このブログをいつも読んでる人にとっては、興味のない話かもしれませんが、ジャズとクラシックが両方好きな人にとっては面白いかもしれませんね。「いや~、それはこっちだろ~」みたいな意見があったら、喜んで頂きたいですね(^^)。ただまあ、独断と偏見ですので、あまり厳密でないことをご了承下さい。では行きます。
まず、スタイル別では簡単に分けられますよね。こうなります。
・バロック ⇔ スウィング
・古典派 ⇔ ビバップ
・ロマン派 ⇔ ハードバップ・西海岸・クール
・近代・現代音楽 ⇔ モード・フリー
次に書く、作曲者・プレイヤー別の対比も概ね、このスタイルに準拠することになるでしょう。では行きますね。
・バッハ ⇔ デューク・エリントン
やっぱ「音楽の父」ですので。武満徹をしてエリントンは20世紀最大の音楽家だと言わしめるほど、ジャズを飛び越えた偉大さを誇るものです。バッハが確立したと言われている「平均律」という考え方が、後の西洋音楽の基礎になっているように、エリントンもジャズ和声の基礎をつくりました。そしてバッハもエリントンも、後世に残した「曲」が素晴らしいことは言うまでもありません。
・ヘンデル ⇔ カウント・ベイシー
バッハ=エリントンの対比としては、自然とこうなるのでしょうか。バッハやエリントンは理論や様式で語られる部分が多いのに対して、ベイシーなんかは身体感覚のジャズという捉え方があります。ヘンデルについてはさほど知らないのですが、何となく軽いイメージがベイシーに重なるような気がします。もちろん、重いのが良くて軽いの良くないわけではありません。好き嫌いの話で言えば、エリントンよりもベイシーの方が好きという人は普通に多いです。
・モーツァルト ⇔ チャーリー・パーカー
やっぱりこれは外せないですよね。昔からモーツァルトとパーカーは同一と考えてきました。モーツァルトが古典音楽の基礎を築いたのに対して、パーカーはモダンジャズの基礎を築きました。二人とも天才にして、最大のイノヴェーターでもあります。麻薬やってたのも同じ、曲数が多いのも同じ、金遣いが荒いのも同じ、寿命が短いのも同じ、女癖が悪いのも同じ。そして天才なのも同じ。きっと2人には同じ神様がついていたのでしょう。
・ハイドン ⇔ バド・パウエル
古典派=ビバップとしては、こういう位置づけになるでしょう。ハイドンとパウエルでは「狂気さ」において違うかもしれませんが、位置づけ、対比としてだけ見ると、妥当かもしれません。私はハイドンはほとんど聴かないのですが、パウエルは大好きです。なので、ちょっと違和感はあるのですが、こういうことにしておきましょう。
・サリエリ ⇔ ソニー・スティット
ちょっと複雑ですね~。パーカーの亜流といわれたスティット。終生モーツァルトを追い続けたサリエリ。どちらもちょっとした悲しみがありますよね。当世ではいずれも超一流であったにも関わらず。サリエリがモーツァルトになれなかったように、スティットもパーカーにはなれませんでした。でも、出てきた曲や演奏は素晴らしいので、私としてはそれでいいのです。
・ベートーベン ⇔ マイルス・デイヴィス
ベートーベンが古典派からロマン派への架け橋であったのと同じように、マイルスもビバップからそれ以降への架け橋となる存在です。それぞれのジャンルに対する絶対的な影響度を見ても、この対比は妥当でしょう。顔が怖いのも似ています。ベートーベンはオペラはほとんど残してないものの、ピアノ曲や弦楽四重奏、協奏曲、そして交響曲など様々なジャンルにおける偉大な業績と礎を築いています、。マイルスもビバップに始まって、クール、ハードバップ、モードとジャズの様々なジャンルでのパイオニアでありました。ベートーベンは早死にし、マイルスは長生きしましたが、狂気さにおいてもよく似ていますよね。
・ロッシーニ ⇔ ディジー・ガレスピー
雰囲気でこうしました。ガレスピーとパーカーの結びつきほどに、ロッシーニはモーツァルトと結びつき強くありませんが、「セビリアの理髪師」=「フィガロの結婚」ということで、言えなくもないかな。一見能天気でハッピーな雰囲気がロッシーニとガレスピーの共通点としました。
・ヴェーバー ⇔ デクスター・ゴードン
とりあえずデクスター・ゴードンを出したかっただけ。地味だけどロリンズやコルトレーンにも影響与えた人だし、そういう意味で、ヴェーバーもロマン派の先駆けですしね。そう言えばヴェーバーはモーツァルトの嫁さんのコンスタンツェと親戚ですね。モーツァルト=パーカー路線で言えば、テナーでいち早くビバップを吸収したデックスもモーツァルトの親戚と言えなくもないですね。
・ベルリオーズ ⇔ セロニアス・モンク
ベルリオーズって結構通好みなところがありますよね。一曲を除いてほとんど知られていないし。でも、実にいい曲が多いそうです。コリン・デイヴィスが全曲録音しているように。そしてモンクの曲も「ラウンド・ミッドナイト」だけでなく、マイナーな曲でもいいのがたくさんあるのです。そういう意味で似てるかな。ベルリオーズが古典派→ロマン派路線にあるのと同様、モンクもビバップ→ハードバップ路線の人ですしね。ベルリオーズは当時は作曲家というより、指揮者であったそうです。モンクはピアニストとしても最高で面白いのですが、やっぱり作曲家としても素晴らしいですよね。そういう二足の草鞋的なところも似ているかも。
・メンデルスゾーン ⇔ スタン・ゲッツ
曲がいいです。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲なんて、ベタだけどやっぱいい曲です。軽やかでメランコリック。スタンゲッツもそんな雰囲気ですね。個人的には私がスタンゲッツ好きなのに対して、メンデルスゾーンはさほどまでは聞かないのですけどね。
・シューベルト ⇔ ソニー・ロリンズ
ま、こんなとこでしょう。シューベルトと言えば「歌曲」ですが、ロリンズと言えば「歌心」って言うのは強引ですかね。多作ぶりは似てますかね。シューベルトが古典派とロマン派の中間であるように、ロリンズも中間的な要素が強いですよね。でもスタイルを別として、シューベルトがシューベルトであるように、ロリンズもロリンズです。ロリンズが50年代に最高傑作を残しているように、シューベルトも交響曲では最高傑作を残しています。あ~、強引かな。
・シューマン ⇔ リー・コニッツ
リー・コニッツをどこかに持ってきたかったのです。シューマンがベートーベンから影響を受けているように、コニッツもマイルスから多大な影響を受けています。ハードバップ路線とは違いますが。シューマンが(奥さんの影もあり)女性的なのに対して、コニッツもどちらかと言うと女性的な雰囲気がありますよね。きりっとしたタイプではありますが。
・リスト ⇔ クリフォード・ブラウン
リストは作曲家としても演奏家としても超一流の売れっ子であったそうです。クリフォード・ブラウンもいい曲を残してますし、何よりトランペット奏者として歴史に名を残す名演奏家でした。演奏技術の卓越さにおいて、この2人を対比させましたが、ブラウニーのアドリブを含めたメロディーセンスとリストの曲の良さも似てますよね。
・パガニーニ ⇔ オスカー・ピーターソン
ヴァーチョーゾぶりで対比させました。スタイルが独特なのも似てるのでしょうが、狂気漂うパガニーニとハッピーそのもののピーターソンでは明らかに違いますよね。でも、ま、いいか。
・ショパン ⇔ ビル・エヴァンズ
ピアノの詩人。雰囲気もよく似ています。ビル・エバンズが後の演奏家に多大なる影響を与えたことに比べては、ショパンの後世に対する影響度は少ないような気がしますが、演奏家・作曲家としては2人は間違いなく卓越しています。ピアノを弾かせたらショパンのエヴァンズも右に出るものはいなかったのですから。聴きやすい点もよく似ています。
・ブラームス ⇔ ジョン・コルトレーン
ジャズ界におけるコルトレーンの影響度に比べると、クラシック界におけるブラームスってどうなのかとも思ったのですが、偉大さにおいてベートーベン以降はブラームスしかありえない気もします。ブラームスがベートーベンの後継者的な存在であるのと同じように、コルトレーンもマイルスの実質的な後継者ではあります。バッハ-ベートーベン-ブラームスがドイツ3Bと言われるのと同様、エリントン-マイルス-コルトレーンも同一遡上にありますよね。コルトレーンはエリントンともマイルスとも競演していますし。
・ワーグナー ⇔ チャールス・ミンガス
何となく政治的で、説教臭い感じが似ているような気がしました。と言いながら、ワグナーはほとんど聞かないのですけどね。ヒトラーがワーグナーを愛したところから、政治臭い偏見を持っていまして。ただそれだけ。
・ヨハンシュトラウス ⇔ アントニオ・カルロス・ジョビン
クラシックにおけるウインナワルツ、ジャズにおけるボサノバ。ライトな感じがよく似ています。シュトラウスに負けず劣らず、ジョビンも多作で、しかもいい曲がたくさん残されています。シュトラウスもジョビンも演奏家と言うよりは作曲家ですしね。
・チャイコフスキー ⇔ キース・ジャレット
曲風の甘さから対比させました。キースは「ケルンコンサート」のイメージが強いんですけど。チャイコフスキーが当時のマスコミから酷評されたのと同様、キースだってわけわからんこと結構してまたよね。でも腕はあります。
・ムソグルスキー ⇔ ハービー・ハンコック
ムソグルスキーのオーケストレーションと、ハンコックの構成力を対比。正直言ってようわからんけど。
・ドボルザーク ⇔ チック・コリア
ドボルザークがロシアとアメリカにまたがったように、チックもアメリカとスペインにまたがっています。ま、こんなとこ。
・シェーンベルク ⇔ オーネット・コールマン
実験的なことをしてましたので。オーネットを今聞くと古典的に聞こえるように、シェーンベルクの十二音階技法なんてのも、今となっては斬新でもないですよね。実験が実験で終わらず、きちんと根付いたと言うことで、お2人は似ているとしました。
・ストラヴィンスキー ⇔ エリック・ドルフィー
ドルフィーって、フリー寄りだけど、ハードバップとしても聴けちゃうところがすごいですね。ストラヴィンスキーも現代音楽でありながら、古典派の要素をきちんと押さえてますので、そこが愛される理由でしょうか。ストラヴィンスキーの古典を意識しすぎた曲はちょっといただけんのですが。
・プロコフィフ ⇔ ウエイン・ショーター
なんとなく。フレーズも変わってますし。
・ガーシュイン ⇔ オイゲン・キケロ
ガーシュインがクラシックとジャズの邂逅。キケロはジャズとクラシックの邂逅。手抜きです。ガーシュインは好きだけど、キケロなんて一回聴いてもういいと思いました。
・ケージ ⇔ サン・ラ
よくわからんので、こうしました。
・滝廉太郎 ⇔ 秋吉敏子
本場で学んだパイオニアですね。
・山田耕作 ⇔ 渡辺貞夫
こちらも本場で学んで、日本に本物を広めました。もちろん本人たちの作曲・演奏技術も一流。
・吉田秀和 ⇔ 岩波洋三
評論家。保守主義。
てな感じです。長くなりましたが。ちなみに密教的にはバッハ・エリントンが大日如来、モーツァルト・パーカーが釈迦如来(又は弘法大師)、ベートーベン・マイルスが不動明王、ブラームス・コルトレーンが観音菩薩ってな位置づけでしょうか。ベートーベン・マイルスは顔が怖いですしね。以上、興味ない人にはまったく面白くない話でしたが、一部の人はお楽しみ頂けたでしょうか?(笑)
ありがとうございました♪(人気blogランキング)
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ところで、ボクは最近音楽CDをほとんど処分しちゃいまして、ジャズで唯一残ったのがアートペッパーの『MODERN ART』です。これは大学生の時から聴き続けていて飽きがこないのですが、アートペッパーってクラシックではダレになるんですかねぇ。ラベルとか?
マニアックなネタにコメント頂き、ありがとうございます!
「魔王」は確かにインパクトありましたよね。誰もが忘れられない一曲だと思います。
「モダンアート」いいですね~。私も大好きです。
アートペッパーは誰でしょうかね。ラヴェルもいい腺ですね~。
後期ペッパーはそれでも良いでしょうが、「モダンアート」の時代だと、、、シベリウスとかグリーグあたりかなあ。。。聴きやすい点から。
私は、ジャズを良く知らなくて、名前のみって感じですが、十分楽しめました。
古典と、ロマン派を今 同時進行で歌ってますが、その違いでジャズがわかりそうな・・・・。いつかチャンスがあれば、聞き比べしなくちゃ!という気がしました。
確かにクラシックと言われる作曲家のほとんどが、かつては優れた即興演奏家だったんですよね。バッハしかり、モーツァルトしかり、ベートーベンしかり。
ショパンなんてあれだけ美しいメロディを即興で作り上げていたたんて、言っては悪いですが、キースジャレットなんかも到底適わない領域だと思います。今即興でショパンのようなメロディを生み出せる人って、世界にいるのでしょうかね。。。
後世に残すために楽譜や印刷技術が発達しましたが、それがかえって本来の音楽の足かせになっている気がしないでもないですね。
ま、クラシックの奏者もカデンツアくらいは、まったくの即興でやってもらいたいとは思うのですが。
本物は淘汰されない、、、真理だと思います。
バド・パウエルがハイドンというのは、無理矢理あてはめただけで、実際にはどうかな、、、と思っています(^^;
モーツァルト=チャーリーパーカーに比べると、ハイドンはちょっと凄みに欠けるかな~とか思っていますし。
単に私がバドパウエル大好きだからなのかなあ。
スピード感のある、メリハリやパンチの効いた演奏または楽曲が好みですが、そんな中で甘めの「アイル・キープ・ラヴィング・ユー」を聴いて、さらにパウエル自身の作曲と知り、素敵すぎ!としびれてしまいました(笑)
ピアノで弾きたくてネットで楽譜を探しましたが、たどり着いた先が英語で書かれた輸入版?しかなく、めんどくさくなって諦めました。耳で聴いて覚えるor譜面に起こすことができればいいのですがぁ、そんな才能ありません(笑) Qさんがおすすめする、パウエルまたはパウエル好きだったからこれ聴いてみたら?をハイドン以外にあれば、教えてくださ~い♪
「アイル・キープ・ラヴィング・ユー」、私も大好きです。「ジャズジャイアント」のが有名ですよね。て言うか、私はバドのアルバムの中ではそれが一番すきなのです(^^)
パウエルは60年代のも、枯れ具合がとてもいいです。
デクスターゴードンの「アワ・マン・イン・パリ+1」の別テイクになっている、「ライクサムワンインラブ」は涙なくして聞くことはできません・・
デックス抜きのトリオの演奏なんですが。