アジアの学生たちの話など 2005.8.8

 今日は朝からNPOの事務所に行き、まちづくり計画の素案を作成していました。「水上バス」が終わり、NPOでも新たな展開のスタートです。実のところ「まちづくり」は私の前職であり、好きな仕事でもあるので、こういう機会に携われるのはとても幸せなことだと思っています。これからは単なる行政の下請けではなく、本当の意味での「結果」の出るコンサルティングをしていきたいと思います。

 ところで、話は変わりますが、昨晩、ある知人からとんでもないメールを頂きました。「ニューウェイズ」という健康食品や生活用品などを取り扱う会社の会員で、つまりは愛用者又はネットワークビジネスのディストリビューター(伝える仕事をしている人)です。

 メールの主旨はそのニューウェイズという会社の事業セミナーへのお誘いでしたが、私は以前興味本位で行ったことがあり、もう充分だったのですが、その後もいろいろと誘われるのでありました。それはそれでいいのですが、驚いたのがなんと、頭髪の薄くなっている中年男性の頭皮のアップ写真を添付して、「ニューウェイズのシャンプーは育毛に効果があります」とのメッセージを添えてきたのです。

 「???」

 この方はいったい私に対して何を表現したかったのでしょうか。要するに「アンタはハゲだからこのシャンプーを使えば生えてくるよ」と言いたかったのでしょうが、そもそも、私はその方とはそこまでの話をする間柄ではありません。それに「生えてくる」を証明したいのであれば、シャンプーの「使用前」と「使用後」を対照させて送ってくるべきなのに、よくわからない「おっさんのはげ頭の写真一枚」を特大で送られて来たところで、本当にいったい何を表現したかったのか理解に苦しみます。それを見たときの私は、不愉快を通り越して不可解な思いでありました。もっとも、私に「シュールな笑い」を提供したかったが真意であれば、それはそれで納得しますが、人間関係やニューウェイズという会社のイメージを損なってまで「シュールな笑い」を提供するメリットはないと思うのですが。やっぱり何を表現したかったでしょうか。。。

 と、こんな面白い話をするのが、本日のテーマではありません。5時過ぎにNPOの事務所を出て自転車の帰り道、スカイクエストコムでお世話になっているS氏とばったり会って、喫茶店で2時間ほどお茶飲みをしました。S氏とは実のところ、ここ1~2ヶ月の付き合いであり、さほどじっくりと話したことがありませんでした。S氏は現在58歳ですが、若い頃から優秀な営業マンで月収は常に7桁。「月収100万以下の仕事は仕事と思っていない」と豪語するほどですが、嫌味なところが全くなく、とても気持ちよく接することが出来る人です。

 営業と言っても飛び込みではなく、一人のお客さんが別の人を紹介し、紹介されたお客さんがまた別のお客さんを紹介すると、連鎖的にお客さんを作ってきたのだそうです。そうさせるのは何と言ってもS氏の人柄であり、確かに接していてそれが伝わってきます。

 ロバート・キヨサキなどがよく言うのですが、ビジネスにおいては、何を「する(do)」ではなく、何に「なる(be)」かが重要なのだそうです。よくわかります。売り方(テクニック)を学ぶのではなく、売れる人間に「なる」方が確実で安定性がありますよね。テクニックなんてのは、時代が変われば廃れていくものですが、売れる人間に「なる」のであれば、いつの時代でも通用します。S氏はまさしく、「なる」に重点を置いた人でした。

 今日、S氏とはなぜか盛り上がってしまい、喫茶店で2時間も話し込んでしまいました。さすがにいろんな方面に造詣が深く、とても勉強になったのですが、一方でとても「心が清らか」な人であることがわかりました。スカイクエストコムの取締役である、パトリック・リュー氏と話をした時のことを突然涙ながらに語り始めました。

 パトリック・リューはシンガポール人で、今でこそ、国内でもっとも成功した人の一人に数えられているのですが、幼い日はとても貧しかったそうです。兄弟は7人おり、父親は身体に障害を持っていました。パトリックの一家の貧しさは半端でなく、「インスタントラーメン」を食べることが最高の贅沢であり、7人誰かの誕生日に7人で一杯のラーメンを分け合って食べていたそうです(断っておくと、加工品はアジア諸国ではぜいたく品になります)。それが一家の最高の贅沢であり、楽しみだったそうです。昔、日本でも「一杯のかけそば」という物語がはやりましたが、それは飽食時代の一つのフィクションとしてもてはやされましたが、アジアにはそれ以上の貧しさが普通に転がっているのです。むしろ、そんな貧しさは当たり前と言ってもいいでしょう。

 パトリックは、足を引きずりながら子どもたちのために懸命に働く父親の姿を見て、「絶対に偉くなってお父さんに楽をさせてあげるんだ」と誓いながら一生懸命勉強し、後にダウ・ジョーンズ(ダウ平均のダウです)のマーケティング責任者にまでなりました。その立身出世の話をS氏は目に涙を浮かべながら話すのです。

 そして話が続きます。アジアにはもっと貧しい人たちがたくさんいるのだと。中国ではミリオネアが登場している一方で、内陸などはまだまだ貧しく、5人兄弟で一枚しかないズボンを分け合って外出している一家もあるのです。S氏の知り合いにはアジアの学生がたくさんいます。運よく日本に留学している学生でも、昼間は大学で勉強して、その後、夜中の1時まで工場で仕事をしているのです。S氏はそのようなアジアの学生に極力力添えになろうとしているのですが、真の問題は日本にこれない大多数のアジア人にあるのです。アジアはまだまだ貧しく、満足に教育や医療を受けることが出来ない人もたくさんいます。

 これは私がカンボジアを旅行している間に現地で聞いた話なのですが、、カンボジアのプノンペンにはものすごい売春宿があります。そこでは年端のいかない少女が売りに出されます。未交の少女は高値で(日本人が)買っていくため、本当に幼い年齢で、そのような仕事をさせられます。その後、エイズなど性感染症の知識も与えられず、身を犠牲にして家族のために働き、ほとんどが病気になりボロクズのように捨てられてしまいます。でもここに「教育」と「医療」さえあれば。。。

 話は変わりますが、私は先週、「水上バス」の仕事をしている時、海の中道で時間をもてあましたので、海岸を散歩していました。すると、、、とんでもなくゴミが散らかっているのです。地理を知ってる人は分かると思いますが、海の中道は博多湾内で那珂川のちょうど対面に位置し手いるため、那珂川のゴミがそのまま海の中道に引き上げられます。もちろんホテルや公園のある海岸はきれいに掃除されているのですが、それ以外の、NTTや国が所有している海岸などは汚いままです。そして国もNTTもホテルも、お互いの占有権にこだわってるのか、なぜか汚い海岸を掃除してあげようという気にならず、汚い海岸が放置されたままになっているのです。
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 S氏が言います。今度、アジアの学生たちとボランティアで海岸のゴミ拾いをするのだと。そうです。残された汚い海岸はアジアからの学生たちが掃除しているのです。ゴミを捨てた、散らかしたのは圧倒的に我々地元民です。我々はそんなことお構いなしで、実は遠くから勉強しにきているアジアの学生たちが、日ごろの感謝の思いを込めて、年に数回ボランティアをしているのです。それを聞いて恥ずかしくなりました。私もS氏に頼んでボランティアに参加させてもらうことになりました。海岸を見て「汚い」と思ったのも一つのきっかけ、S氏からこんな話を聞いたのも一つのきっかけです。そして今月末にもアジアの学生たちと海岸のゴミ拾いをすることになりました。

 以上です。今日はS氏に偶然会い、話を聞いていろいろと考えさせられました。もしも私がスカイクエストコムに出会わなかったら、S氏と会うこともなかったであろうし、改めてアジアを近しく考えることもしなかったかもしれません。S氏は若い頃から7桁の月収を取っている、収入で言えば一般の人よりも恵まれた生活を送っている人ですが、改めて「成功」ということをS氏に尋ねてみました。

 「Sさんにとって『成功』って何ですか」、と。すると、

 「自分の周りの人間がみんな幸せになることだよ」、と返事が返ってきました。

 確かに私もお金は欲しいし大切なものだと思っています。しかし、究極は自分を含めて周りの人たちが物理的にも精神的にも幸せになることこそが、私の願いであり、私にとっての「成功」だと考えています。その意味で、S氏との出会いは私にとってとても尊いものになっていくと思います。

 あらゆる出会いに感謝したい。今、そんな気持ちになっています。

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by katamich | 2005-08-08 23:19 | ■日一日 | Comments(0)