ジャズ講座の資料を作った 2017.12.9
2017年 12月 09日
ともあれ、来年は初めての試みである「ジャズ講座」を一発目にやります。ちなみに参加費はすべてミュージシャンとお店に流れるので、私の懐には一円も残りませ~ん。なのでドタキャンはNGでお願いしますね。一応、満席になったのだけど、ちょうどキャンセルがでて1席あいています。フォームが開いたら受付中。
■1月5日(金)/東京/Qさん企画『超ジャズ入門講座&ライブ』with 土井徳浩
せっかくなので資料を公開。興味あるの人は読んでくださいね。
Qさん企画『超ジャズ入門講座&ライブ』
土井徳浩(cl)&阿部篤志(p) atなかの ぴぐのうず
【第Ⅰ部の1:ジャズはブルースに始まりブルースに終わる】
ブルースとは・・・アメリカ南部でアフリカ系アメリカ人の間から発生した音楽の一種およびその楽式。19世紀後半頃より黒人霊歌、フィールドハラー(農作業の際の叫び声)や、ワーク・ソング(労働歌)などから発展したものといわれている。「歌」が主たる表現方法であり、黒人の悲しみや孤独感、やるせなさを抒情的に、時にユーモラスに歌われた。
○精神としてのブルース
日本の「ブルース」はいわゆるブルース形式ではなく、ブルース的なメランコリーを漂わせた歌謡曲の名称の一つに過ぎない。「別れのブルース(A)」「山谷ブルース(B)」「ヨイトマケの唄(D)」など、精神においては黒人ブルースを受け継いでいる。
「A(4小節)→B(4小節)→C(4小節)」を構成とし、それぞれ「A=状況説明、B=フリ、C=オチ」となる。矢沢永吉著『成りあがり』の中のエピソードを例にすると、
A:オレんちはめちゃくちゃ貧乏でバアちゃんの作る水溶きプリンがご馳走だったのよ
B:ある日金持ちのボッチャンがケーキを見せびらかして、オレに投げつけてきたんだ
C:そのガキが後ろ向くのを動かず待って、ほっぺのクリームをそっと舐めたのさ
と、貧乏な少年時代を切なげに歌い上げることができる。
○形式としてのブルース
「4小節×3=12小節」をひとくくり(1コーラス)とした共通言語であり、ジャズやロックンロール、ロックにもその「形式」が受け継がれる。ジャズ(特に後述するビバップ)では、本来のブルース特有の哀感は削除され、単なるアドリブの素材と変容した。
音形としては3度(ドに対するミ)が平均律で表現できないレベルで下げられ(フラット)、その音は「ブルーノート」と呼ばれる。同じく3度、5度、7 度を下げられた音階をブルーノートスケールと呼び、ジャズにおいても本来のブルースっぽさが残されている。
♪♪ブルースを聴いてみよう!
※ABCで12小節ひとくくりを感じられたら合格
【第Ⅰ部の2:どこからがいわゆるジャズか、そのスタイルと歴史】
ジャズとは・・・港町ニューオリンズを中心に、フランス系白人と黒人の混血であるクレオールがジャズの発展に寄与したと言われる。軍隊音楽、宗教音楽、ラグタイム、ブルースなどの要素を含み、まさに西洋音楽と黒人音楽のクロスオーバーである。ブルースと異なり楽器による表現がメイン。
「星に願いを(When You Wish upon a Star)」をテーマに3つのスタイルを聴いてみたい。
♪♪クラシック調に聴いてみよう!
①初期ジャズからスイングへ
1920年代、ニューオリンズスタイルの初期のジャズは複数の楽器(クラリネット、トランペット、トロンボーン、バンジョーなど)による集団即興を主とした。リズムやコードも単純だが、その即興性においてはすでに「ジャズ」として確立されていた。
1930年代に入り、編成も大きくなり、アンサンブルを重視するスタイルへと発展した。曲やアレンジにも重きが置かれ、各プレイヤーの即興演奏を聞かせどころともするが、どちらかと言うとダンス音楽として大流行した。このスタイルは「スイングジャズ」と呼ばれ、代表的なミュージシャンはデューク・エリントン、カウント・ベイシー、そしてベニー・グッドマンなど。
♪♪スイングスタイルで聴いてみよう!
②ビバップとモダンジャズ
1940年代に入り、ダンス音楽に飽き足らない先鋭的なミュージシャンが、夜な夜なセッションを繰り広げる間に偶発的に生まれたとされる。メロディはデフォルメされ、コード進行は細分化、複雑化が進み、時に猛烈な速さで演奏されることもあり、極限にまで即興性が追及された。
いわゆる「モダンジャズ」とはビバップ以降のスタイルを指し、代表的なミュージシャンはチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピー、バド・パウエル、マイルス・デイヴィスなど。
♪♪ビバップスタイルで聴いてみよう!
③モードからフリーへ
ビバップはその後、ハードバップ、ウェストコーストなどへと大衆化する一方で、そのコード進行をミクロにまで突き詰めすぎた結果、反動としてシンプル化する動きが始まった。それは、コードではなく音階を元に即興演奏される「モードジャズ」、そしてコード、音階、メロディ、リズムなどあらゆる制約から解放される「フルージャズ」へと変遷した。
フリージャズの代表はジョン・コルトレーン、アルバート・アイラー、セシル・テイラーなど。
♪♪フリースタイルで聴いてみよう!
【第Ⅱ部:それぞれのスタイルの代表的スタンダードを聴く】
①土井徳浩オリジナル 【コンテンポラリー】
ビバップからフリーまでのエッセンスを取り入れたオリジナリティあふれるコンテンポラリージャズ。
★土井徳浩『アマルティア』、『ミスター・プロフェッサーズ・サンクタム』
②Blues 【全時代】
第Ⅰ部で解説したブルースを、本日はテーマから即興で。
③Stompin' at the Savoy (by Edgar Sampson) 【スイング】
スイングの王様、ベニー・グッドマンの代表的ナンバーであり、モダンジャズでもしばしば演奏されるスタンダード。
★ベニー・グッドマン『ベニー・グッドマン物語』など
アート・ペッパー『モダンアート』
北村英治『エイジ・ミーツ・スモーキン』など
④Confirmation (by Charlie Parker) 【ビバップ】
チャーリー・パーカーの代表的オリジナル。パーカーは既存曲のコード進行を元にオリジナルを作ることが多いが、この曲の原曲は不明。カバーは無数。
★チャーリー・パーカー『ナウズ・ザ・タイム』など
デクスター・ゴードン『ダディ・プレイズ・ザ・ホーン』
ジャッキー・マクリーン『4 5 & 6』
⑤Recado Bossa Nova (by Djalma Ferreira) 【ボサノバ】
「ザ・ギフト」の別名でも知られ、CMに用いられたこともある。多くの演奏者にカバーされるが、決定版はなんと言ってもハンク・モブレー。
★ハンク・モブレー『ディッピン』
⑥Spain (by Chick Corea) 【フュージョン】
1972年はエレクトリックの時代にチック・コリアが自身のアルバムから発表して以来、数多くの演奏者にカバーされている。しばしばロドリーゴの『アランフェス協奏曲』をイントロに持ち、アップテンポのトリッキーなテーマへと受け継がれる。
★チック・コリア『ライト・アズ・ア・フェザー』
松本孝弘『ハンドレッド・ウェイブ』
チック・コリア&上原ひろみ『デュエット』
参考音源も貼り付けましたので、参加される方は事前に聞かれていると、よりライブも楽しめるかと思います。どの音源も定番中の定番。
なお、当日はジャズ界の超大物サックス奏者も遊びに来られるようなので、ぜひからんでいただきたいと思っています。かなりレアでありながら、濃厚なライブになること間違いなし。どうぞお楽しみに。ありがとうございました。
【受付中の講演・セミナー】
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