泣ける小説だった 2017.7.24
2017年 07月 24日
そんなこともあってか、今日は「ちょっと読む」つもりが500ページを一気読みしちゃいました。奥田陸さんの『蜜蜂と遠雷』って小説。直木賞と本屋大賞のW受賞とのこと、河口湖で参加者さんから勧められてその場で購入したもの。ハードカバーの500ページは鈍器感満載なんですが、あっという間に読んじゃいましたね。国際ピアノコンテストに挑戦する4人の若者を軸とした物語。ストーリー自体は、そんなに起伏に富んだものじゃないのだけど、一つ一つの「描写」が上手い。正直、泣ける。泣いた。そう。これは泣ける小説でした。
ほんと、ところどころに興奮するシーンなどもあって、これはドラマ化とかするのはかえって難しいだろうな~って思う。フェイスブックにサクッと投稿した文章。
河口湖で勧められてその場で注文した恩田陸『蜜蜂と遠雷』、500ページの大作ですが、ちょっと読むつもりが半日かかって読了。
国際ピアノコンクールに挑戦する4人の人物を軸に繰り広げられる青春小説。ストーリー全体は淡々としてるのだけど、その「音楽表現」に何度も涙してしまった。
これは泣ける小説です。
曲自体はプロコフィエフとかバルトークとか、個人的にあまり聞かない曲が続くのですが、前半でモーツァルトのピアノソナタ第12番が登場するところが嬉しかった。数あるピアノソナタのうち最も好きな曲。一般的には8番イ短調とか11番トルコ行進曲付などが有名で、この曲はそこまででもないけど、著者はこんな風に表現している。
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明石は、他の観客と共に、ピアノソナタ第十二番第一楽章の、最もモーツァルトの天才を感じさせるフレーズに痺れた。この個所を聴くたび、数百年も前に描かれた奇跡的な旋律に身震いするのだが、その部分に差し掛かったとたん、まるで電気が走ったかのようにその感激が会場全体に共鳴し、明石は鳥肌が立った。
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「最もモーツァルトの天才を感じさせるフレーズ」がどこか書かれていませんが、動画の1:07あたりから短調になるとこかな?
ここは確かに痺れる。モーツァルトを感じさせるかはわかりませんが、ニ短調の協奏曲により先に「ロマン派」を先駆けた名フレーズには違いない。
この小説を読みながら、モーツァルト以外も聞きたくなりました。世の中にはまだまだ素晴らしい世界が広がっているものだ。
オレも近々ジャズ本を書きたいと思う。
クラシックが中心なんだけど、この著者は大学時代に早稲田のビッグバンドでアルトサックスを担当してたそうで、ジャズにも造詣が深い。コンテストの第二次予選では通常のクラシック曲以外に、このために書かれた日本人作曲家による現代音楽も課題になっている。『春と修羅』って曲名ですが、もちろんフィクションでしょう。ほとんどが無調の現代音楽の中に、自作のカデンツア(即興)が要求される場面があって、主人公の一人であるマサルのカデンツアを聞いて、他の主人公の二人(亜夜と塵)が、それに触発されて急いでピアノを弾きに行くシーンがあるんです。
本物の天才である男子高校生の塵は、亜夜もきっとピアノを弾きに行くだろうとついて行って、二台あるピアノをそれぞれ弾き始めるシーン。そこまでの道でちょうど月がキレイだって話をした瞬間、塵はドビュッシーの『月の光』を弾き始めるのだけど、亜夜もそれに合わせて弾き始め、次第にアレンジを加えて、そのうちに「月」つながりか、どちらともなく『Fly Me to the Moon』へと移っていき、さらにベートーベンの『月光ソナタ』の第二楽章が始まる。間髪入れず高速の第三楽章を完全ユニゾンでジェットコースターのように合わせ、亜夜はそれを伴奏に『How High the Moon』を弾き、塵もそれに合流する。高速の16分音符とグリッサンドで飛躍した瞬間、一点の星が目に入り、何かをつかむ。
ここに出てくる曲はすべてよく知ってるだけに、音がガンガンに聞こえてくるようで、すごく興奮してしまったのです。そんなシーンが何か所も散りばめられてて、本当に音楽を聴くような一冊だったわけ。月光ソナタの第三楽章を伴奏にハウハイザムーンとか、本当にやったらすごい。途中ではきっとオーニソロジーのフレーズも挟んだんだろうな~とか想像しちゃう。まあ、読んでもらった方がいいです。これでクラシックとかジャズとかに興味を持つ人が増えてくれたら嬉しいね。
そんなわけで、今日は本を読み、その余韻に浸って、YouTubeで音楽を聴いたりして一日過ごしたので、あまり仕事していません。はい。それでも明日のセミナーの申込みが増えたし、懇親会も含めて、また面白くなりそう。今からでもぜひお待ちしています。先取りして新刊の話もたっぷりします!
7月25日(火)/福岡/[月イチ]宇宙となかよし塾29~夢かな・トラウマ対応2
月イチの福岡では、その後の懇親会が一番の楽しみのようになっていて、そこでいろんな話がまたできる。青春だよね。明日はこの一か月で起こったいろんな話をしたいと思います。青春だ。人生は素晴らしいね。ありがとうございました。
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