受想行識ビリーフ 2012.5.24
2012年 05月 24日
ここ数日、私の中でも再びコーチングブームがやってきています。私はそもそも「人」が「変化」するのを見るのが好きなようです。そしてそこに生き甲斐を感じているところもあります。NLP開発者の人であるロバート・ディルツ氏は意識の階層を6段階に分け、それは「環境」「行動」「能力」「信念・価値観」「アイデンティティ」「スピリチュアル」のレベルに分かれます(ニューロ・ロジカル・レベル)。「スピリチュアル」のレベルは霊的な気づき、「アイデンティティ」のレベルは自分が何者であるかの自覚。私はこの二つの間に「本当の自分」なる一点があると定義しているのですが、これらは基本的に「変化」するものではありません。もちろん「アイデンティティ」のレベルでは、子供が産まれて「父親」なるなどの、新たな要素としての変化はあるでしょうが、「石田久二」という人間は変わりようがありません。それは名前を変えても同じこと。
では、それ以外の4つはどうか。「環境」を変えるのは簡単。引っ越しでもいいし、いつもと違う服を着るでもいい。ナンボでもあります。「行動」も比較的簡単。突然写経し始めたのなんかも行動を変えた一つ。「能力」はやや難しくて、英語力とかスピーチ力とか、何らかの訓練によって変わるもの。では「信念・価値観」はどうか。これが最近のテーマでもある「ビリーフ」です。
何度も言うように、「信念・価値観(ビリーフ)」は幼少期にプログラミングされた無自覚な思い込みのことであり、これが現実を大きく規定しています。「私は成功してはならない」なるビリーフを持っている人は、「能力」を押さえ込まれ、「行動」も進まず、「環境」も結果としての失敗に甘んじている状態。このでの「成功」を「収入」に言い換えると、「私は成功してはならない」なるビリーフを持っている人は、大きな収入を得るための能力はなく、そのための行動もせず、そしていつもお金のない環境に置かれます。
「私は愛される価値がない」なるビリーフを持っている人は、例えば異性から好かれるような能力(容姿、会話力、雰囲気など)がなく、異性から嫌われる行動ばかりとり(無愛想、無表情、不親切など)、結果として周囲に異性のいない環境を引き寄せてしまいます。
つまり「信念・価値観(ビリーフ)」は常に「能力」・「行動」・「環境」を規定しており、そのビリーフは幼少期からひたすら刷り込まれたもの。だけど、自分は収入もアップしたいし、異性からも好かれたい。どうすればいいか。それは「ビリーフ」と「行動」の二点にくびきを打つのです。つまり「ビリーフ」を変えるか、「行動」を変えるか、さらにその両方を変えるか。これは通常、どちらが取りかかりやすいかと言うと、現実的には「行動」です。収入アップしたければ、そのための頑張って行動するんです。例えば「○×行動計画」など作成して、自分自身を管理しながら着実に進める。行動を積み重ねると、必ず結果はついてきます。その結果「やればできるじゃん」なる自信が芽生え、それが「私は成功できる(価値がある)」なる「ビリーフ」が芽生えるのです。地道だけどそれが一番確実。
もう一つは直接ビリーフを変えること。私の例で言えば、以前、「やっぱりフリーランスで生きていくなんて無理じゃないか」と諦める一歩手前で、加賀田晃先生のDVDを見て衝撃。それにより「この通りやれば、オレは金に困ることはない!」と思い込み、あれから7年、その通りになっています。つまりビリーフを変えるには「衝撃」が必要。だけど、その「衝撃」に出会うのは偶然のようなもの。それでは待てない。そこで役に立つのがセミナーやセラピーです。例えば何とかステップなるメガセミナーも一つ。終わった頃にはバリバリテンションが上がって、「何でもできるで~」なる気持ちになりますよね。まさに「ビリーフ」が変わった瞬間。だけど、残念なことにそのビリーフは元に戻りやすい。ですので、そんな時こそ「行動」をしっかりすることによって、ビリーフを定着させる必要があるのです。
では、この週末に私が体験したようなセラピーはどうか。世の中にはいろんなセラピーがあり、まったく効果のないものもあれば、効果がありすぎて危険なものまでさまざま。ちょうどいいのに出会うのもまた偶然のようなものか。そこで、例えば具体的には棚田氏のセラピーはどうなのか。実はいろいろ問い合わせを頂いてるのですが、「わからない」が正直なところ。ぜんぜん効かない、かえっておかしくなったなどの声も聞く一方で、そのお弟子さんの一人であるカズ姉さんなどの話では、めちゃくちゃ効果があるとの声も。100%誰にでもとは言えないまでも、かなり効果の見込めるセラピーである可能性は高いとの所感です。他にもいい人はいっぱいいるし、それこそ最近は個人セッションはまったくやらない石井裕之さんなども、ガチのセラピーさせたらめちゃくちゃスゴいって話を同業者からも聞きました。
そもそもこの「ビリーフ(belief)・チェンジ・セラピー」ってのは、名前はややこしいですが「ブリーフ(blief)・セラピー」の一種。つまり「短期間(瞬時)」にして症状を改善させる技法。ここでいうなら、瞬時にビリーフを変える技法。その第一人者が天才療法家ミルトン・エリクソンです。エリクソンを直接知る人によると、本当に魔法か超能力を見るかのように、患者が次々と改善していくようで、エピソードを読んでも本当に信じられません。対人恐怖症が数秒で治ったり、不良少年が数分で更生したりなど、日本語で読めるエリクソンのエピソード集があれば、おそらくマンガのように思えるかもしれません。私もしばしばセミナーなどでエリクソンの話をするのですが、必ず笑いが起こります。それだけバカバカしくも見えながら、実はスゴいことやっていたのでしょう。
そのエリクソンの技法を何とか再現できないかと研究開発したのが、当時大学生だったリチャード・バンドラーと、言語学者であったジョン・グリンダー。バンドラーが何かのテープ起こしをして考え込んでるのをグリンダーが見てこう言います。「何をやってるんだい?それを教えてくれたら、私はその仕組みを君に教えることができるよ」、と。そうやって開発されたのがNLP(神経言語プログラム)でした。最初はサティア、パールズ、エリクソンの言語パターンを分析し体系化した「メタモデル」と「ミルトンモデル」からスタート。目覚ましい効果があったと言われますが、それをさらに実践的に使えるようにしたのが、ロバート・ディルツ。
棚田氏のセラピー手法はディルツ式がベースにある、と言うより、ものすごいディルツ主義者のように思えるのですが、実は私もディルツに依拠してる部分が多いです。より実践的でわかりやすいから。今回、棚田氏の下で改めて勉強しようと思ったのも、ディルツ式のNLPをかなり消化しているように思えたから。それだけ親和性もあるので、ガッツリ勉強できそうです。
私がコーチングにおいて重視するのが、この「信念・価値観(ビリーフ)」と「行動」ですが、4月末からスタートした新しいプログラムでは「行動」にばかり焦点を当て過ぎていました。ようはビリーフを扱うのが厄介だったのもあり。その意味でも経営者・起業家に限定していたのですが、この週末のセミナーを受けて、ちょっと考えが変わったのはすでに言ったと思います。つまり目の前に人参をぶら下げ、尻を叩いているだけでは、どうしても限界がある。馬や牛ならまだしも、人間には様々なビリーフがあるので、それを扱わずしてコーチングが本当に機能することはない。もちろんビリーフが肯定的であれば、行動に焦点を当てるだけでもいいでしょう。だけど、私を含め、人には生まれ育った環境などに影響された根深いビリーフがあり、それは経営者・起業家だって同じこと。
そもそも私が一貫して研究し続けてきたのが「ビリーフ」だったし、セミナーでもこの話をすることが多かった。だけど、この半年ほどは、「行動」にばかり焦点を当ててビリーフは見ないことにしてました。その意味では、「違うよ、違うよ、違うでしょ」って言ってもらったような気がしています。そのことに深く気づけたのも、まさに棚田氏による10分間のセッションによってでした。そんなわけで、ようやくセッションの話に入ろうと思ったのですが、この時点ですでに4,000字書いていて、このまま行けば間違いなく字数オーバーだろうから、また、次回に引き延ばしです。いつになったら書けることやら。
そんなわけで、私のコーチングも今からは「ビリーフ」と「行動」に焦点を当て、セッションでは主にビリーフ・セッションをして、普段は「○×」で行動を積み重ねる。この二本立てで進め、確実に目標達成ができるようお手伝いをさせて頂きます。コーチング専用ブログもコツコツ更新してますが、そっちはズバズバと気を遣わずに書けるので気分がいいです。
ただし、私が最終的に目指しているのはビリーフを変えることではなく、超えること。ネガティブをポジティブに変えるのは、それはそれで役に立つのでいいですが、本来はネガもポジもないのがこの世の本質。それを「空(くう)」と呼ぶのですが、般若心経的に「ビリーフ」とは「受想行識」のこと。「受」は刺激を受けた状態、「想」は刺激に対する即座な反応、「行」はその反応を意識化することで、「識」は一連の刺激・反応を客観視すること。
例えば「人は危険である」なるビリーフを持つ人にとっては、まず人と会うという出来事が起こりますが、これが「受」です。それに対してちょっと緊張しますが、その状態が「想」。さらに、その緊張から逃れたいと思うのが「行」で、最後にやっぱり人は危険だよな、と締めくくるのが「識」です。一連の感覚的な「刺激・反応モデル」によって、そのモデルがさも事実のように認識してします作用。これが「受想行識」であり、般若心経ではそれが「無」だと言ってるのです。
「無色無受想行色」
つまり、この世には一定の形などなくすべてが移ろい行くもの。自分が何かに接してそこで得た感覚や気持ちなども、本当は単なる思い込みであって、最初からないんだよ。これがこの部分の解釈です。
ビリーフ・チェンジとは、ビリーフなんて最初から事実でも何でもないのだから、都合よく変えるのもありだよね、と言うこと。だけど、本当はそんな変えるとか何とかよりも、ビリーフなんかまったくの幻想だってのを知ることが大切。それが「是故空中」ですね。すべては「空」なんだから、「色」なく、「受想行識」もない。そんなとこ。
てなわけで、私が目指すところ、皆さんに知って欲しいことは、そもそも「ビリーフ」なんて事実はないってこと。それを超えること、すべては「空」であることを知ること。もちろん死んでしまえば、すべてが空だと悟れるのだけど、こうやってビリーフを持ちながら生きるのも、それによる葛藤に苦しめられるのも、まさに人間だからこそ。ビリーフもまた、人間臭い必要なものなんでしょうね。だからこそ、いろいろ悩むこともあるけど、人間は本来その悩みも葛藤も超えられる生き物なんだから、気楽に生きましょうってことかな。明日こそセッションの話しますね。と言いながら5日くらい過ぎたので、どうなるかわかりません。とりあえずまた明日。ありがとうございました。
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【世界】目標を確実に達成する行動強化コーチング
先輩は入って必ずドアを蹴飛ばすので、新人さんが直立不動で震えながら大声を出すのを見て、先輩と腹を抱えて笑ってました。
先輩の見た目も、小柄なサッカーの岡田監督(笑)って感じなんやけど、刷り込みが効き過ぎると、新人さんの震えが止まらず、解放してやるのに難儀しましたよ。(^。^;)
私も寮生活でしたので、似たようなことはあったな~