滝の中で意識がなくなる 2005.1.8

 二週間ぶりの滝行。5時に起きて待合せ場所から、北九州の「畑観音」へ。今朝の気温は3度。今までで一番の寒さです。回を追うごとに寒くなり、徐々に未知の世界に入っていくのです。
 
 いつものようにお参りをして、お経を上げて滝着に着替えます。私は3番目に滝に入ります。お決まりの作法を済ませ、前の人が滝に打たれているのをじっと立って待ちます。すると、なんということでしょう。雪がぱらついてきたではありませんか。既に氷点下に近いと思います。

 前の人が終わり、いよいよ私の番です。今日も「来てしまった~」という心境です。そう言えば、12月18日のブログで、同じような状況で、導師が「今日はいきなりどえらい悪霊が来て追い払えん~。今日は引き上げるぞ~。」て言ってくれんかな~、って書きましたが、その日は本当に「魔物」がいたそうです。私のブログは滝の仲間も読んでいますので、あれ以来「魔物を呼ぶ男」と言われるようになりました。

 話を元に戻します。私の番になり気合を入れて滝に入ります。「いえ~!!」。先ず、急いで「身禊の大祓い」を唱え、般若心経に移ります。これは通常、1回、3回、7回、21回…と回数が決められています。1回では物足りないので、我々の中では3回あげる人が多いです。私も3回のつもりで、1回目、2回目とスムーズに唱えました。そして3回目に入ろうとするときです。

「ま~か~はんにゃ~は~ら~み~た~しんぎょう~、かんじ~ざいぼ~さ~ぎょうじんはんにゃ~は~ら~み~た~しんぎょう~…」

 間違えました。「もとい!!」と声をかけ、

「ま~か~はんにゃ~は~ら~み~た~しんぎょう~、かんじ~ざいぼ~さ~ぎょうじんはんにゃ~は~ら~み~た~しんぎょう~…」

 また間違えました。「もとい!!」と声をかけ、

「ま~か~はんにゃ~は~ら~み~た~しんぎょう~、かんじ~ざいぼ~さ~ぎょうじんはんにゃ~は~ら~み~た~しんぎょう~…」

 また間違えました。どういうことでしょうか。般若心経が出てこなくなるなんて。精神を落ち着かせもう一度唱えるのですが出てきません。頭が真っ白です。もう一度精神を落ち着かせるのですが、出てこないのです。無言で滝に打たれたままでいると、導師をはじめ仲間達が「これに続け」と言わんばかりに唱和しているのが聞えます。しかし、頭真っ白の自分には「声援」が送られているのはわかっても、もう聞えないのです。

 しばらく無言でじっとしています。するとどうでしょう。何とも言えない良い気分になってきたのです。1回目2回目に唱えている時は、「痛い、冷たい、苦しい」という思いでしたが、頭が真っ白になった今、水の存在はすっかり忘れ、心地よさだけを感じるのです。まるで、滝が私の体を愛撫しているような気持ちです。

 目を瞑ると、花が咲いて見えます。一種のトランス状態と言うのでしょうか。滝の外では何やら叫んでいるのが聞えます。しかし私の中では、「早く出ないと迷惑だ…」、「でも心地いい…」、「やばい、意識が遠くなる…」、「3回唱えないと…」という気持ちが交叉します。でも、はっと意識を取り戻して、般若心経は諦めて、ご真言に移りました。そして無事に滝から出ることができました。

 今日のは一体なんだったのでしょうか。氷点下に近い気温の中で、裸で滝に打たれるという常軌を逸した行動の中で何が起こったのでしょうか。まさしく「未知の世界」に突入した気分でした。

 後から話をしたのですが、恐らく急激に体温が下がったことによる失神状態だったのではないかと。よく雪山で遭難した人が、失神寸前で「寝ちゃダメだ!」と闘っているシーンをテレビなんかで見ることがありますが、まさしくそんな状態。

 導師も、滝に打たれながら立ったまま失神した経験が何度もあると言っていました。とても怖い話です。これから先、どんどん寒くなる中で「行」が本格化し、こういう事態もあるということなのでしょう。何度も言っているように、2月の一番寒い時期、私は21日間毎日滝に打たれるという「21日行」に挑戦します。その間、もちろんたった一人で打たれることもあります。それに備えて今回の失神事件は良かったのでは。これから先、どんどん気を引き締めて行きたいと思います。

今日の順位は?

(悲しい時~、悲しい時~、1500メートル走で太った奴が「声援」をかけられながら一週遅れでゴールするのを見たとき~)
(悲しい時~、1500メートル走で太った奴が「声援」をかけられながら一週遅れでゴールするのを見たとき~)

滝の中で意識がなくなる  2005.1.8_b0002156_025537.jpg

by katamich | 2005-01-09 00:11 | ■滝行 | Comments(0)