理不尽を笑え 2011.8.13

 この一週間、ずっとちびQと一緒でした。おかげでかなりのパパっ子になってしまい、寝る時も一緒じゃなきゃダメになりました。とりあえず横になって寝るのを待つのですが、そのまま私も、、、ってことがずっと続いて、なかなか自分の時間が取れない。でもまあ、これも喜ばしいことなんでしょうか。ちびQが「ぱぱ、ねんね」と言いながら枕を叩く姿もいつまで見れることやら(笑)

 そんなわけで昨日も早く寝て、今朝は早起きして滝。北九州の「畑観音」です。夏の滝行はほんと気持ちいい。浄化してます。で、家に帰ると、ちびQからの攻撃が始まります(笑)。私はその攻撃をかわしながら、なんとか本を読み、、、ちびQが寝静まってから読了。池井戸潤さんの「空飛ぶタイヤ」って小説です。

 いや~、この小説も泣きましたねえ。こないだの「下町ロケット」もよかったですが、その倍の長さの「タイヤ」も一気に読ませる面白さ。どちらも「大企業vs中小企業」って図式の中で、散々、理不尽な目にあわされる主人公の中小企業社長が、最後には正義を貫き通して大企業をやっつけるって話。勧善懲悪エンタメではありますが、わかっていても面白い。

 池井戸さんはもともと三菱銀行の銀行マンだったそうで、会社を辞めてコンサルやビジネス書作家をしながら企業小説で大成功。「ロケット」で敵対する大企業は「帝国重工」って名前ですが、モデルはもろに三菱重工。「タイヤ」の方は「ホープ自動車」って名前ですが、モデルはもろに三菱自動車工業。ちなみに「タイヤ」の方は数年前の「三菱リコール隠し」がモデルとなっていて、実話に近いフィクション。池井戸さんは三菱銀行時代、よほど嫌なことがあったのでしょうか(笑)

 それだけに大企業に蹂躙される中小企業をとことんまで落としこんで、そして最後に劇的などんでん返しで留飲を下す、その落差は見事。「ロケット」の登場人物の一人がこんなようなことを言ってました。人殺しをしてはらないのは法律で罰せられるからではなく、その前に倫理的にしてはならない。だけど企業殺しは法律さえ守っていれば倫理なんて考える必要がない、と。

 これはマックス・ウェーバーがかつて「予言」したような、まさに「倫理なき資本主義」の姿そのもの。だけどこれが現実。ま、ここだけの話、、、とは言いませんが、大企業が大企業になる背景には、数え切れないほどの中小企業の涙があるわけです。今では経営の神様のように崇められている稲〇和夫さんにしても、中小企業を吸い取りまくって、何人もの自殺者を生みだしたと言われ、京都にはその怨念があるともないとも。

 おそらく「ロケット」で描かれたようなことをリアルにやってたのかもしれません。中小企業が必死の思いで開発した技術(特許)を根こそぎ奪って行ったり、渡さぬものなら、追い込んで吸収による救済措置。そりゃ、金の問題ではなく、自身のプライドと人生をズタズタにされた中小企業の社長さんはやりきれないでしょ。でも、これが現実。資本主義。そう言えば、私の弟はまさに池井戸小説が敵視する大企業の技術者ですが、中小企業の技術力はスゴイって言ったよなあ。

 確かに大企業ってのは負けちゃいけないんです。なぜなら大企業に食わせてもらってる企業が山ほどあるから。実際、三菱リコール隠しの事件の後、調べたわけじゃないですが、三菱自動車の取引先企業が連鎖的に倒産したなんてこともあったでしょう。なので、もしかしたら、いち中小企業が理不尽を受け入れることで、その他多くの中小企業が救われることだってある。だから世の中は警察も司法も、そして世論も大企業寄りなのです。

 だけど、そんな世論を変えたのがまさにインターネット。やっぱり悪いものは悪い。国であろうが、大企業であろうが、悪いものは悪い。それを正面から言えるようになったのは、まさにインターネットの成果でしょう。そしてその発端となったのが、今から10年以上前だったと思いますが、いわゆる「東芝クレーマー事件」。東芝のカスタマーサービスの社員が、顧客に暴言を吐くなどした対応の一部始終が録音されて、ネット上に公開。それを拡散したのが、開設間もない「2ちゃんねる」。間もなくマスコミが盛り上げて、東芝不売運動にまで発展した事件。

 これをきっかけに、そのような大企業の横暴体質は確実に改善されたと言われています。まさにネットの勝利。しかし弊害もあります。例えばテレビ番組へのクレームなどについても、昔は「なら見るな!(ガチャッ!)」で終わったところ、東芝みたいに録音されたり、さらにはスポンサーへの妨害が起ったりしてはテレビ局も弱腰になる。その結果、「無難」な番組ばかり作るようになり、民放は横並びにクイズとお笑いで枠が埋まってしまう。

 だけど、それはそれでいいかもとも思います。なぜなら、もはやテレビの時代は終わったから。と言うより、従来のテレビの時代が終わったってこと。もう、大企業からお金もらって、大企業寄りの番組を作る時代でもない。今はネットを見てる時間の方が長い人も多いし、テレビにしても有料番組が増えている。「タイヤ」だって実はWOWWOWでドラマ化されたようなんですが、確かに大企業から広告費をもらっている民放では放送できないでしょ。なのでこれからはおそらく、無難な無料民放、面白い有料局、日常的なインターネットって図式になることでしょう。でも、個人的にはもう民放はいいかな、と思っています。

 ところで、、、いろいろ現実を見ているとね、、、やっぱり理不尽なことって多いな~とは思います。池井戸小説はその「理不尽」をテーマに、最後は「正義は我にあり」って結論になるのですが、現実はそんなに甘くない。そしてしばしば聞かれることがあるのですが、なぜにこの世の中は、、、正直者がバカを見るようなことがまかり通るのでしょうか、、、ってこと。

 これ、すごく書き難いし、書いたら反発もあると思いますが、昔、どこにでもイジメっ子とイジメられっ子っていましたよね。まずは私の学生時代を思い出しているのですが、いわゆるイジメられっ子だった人で、今、名前を聞く人はほとんどいない。消息を知る人はほとんどいない。ネットで調べても出てこない(笑)。それに対してイジメっ子だった人って、う~ん、、、なぜか「成功」している人が多い。もちろん「成功」って定義はあいまいですが、少なくとも自分の思い通りの幸せな人生を送っている人が多い。

 イジメっ子は基本的に害ですが、イジメられっ子は決してそんなことはない。心優しく思い遣りがあって平和的。それに対して、イジメっ子はすぐ人にケンカを売るような真似をするし、何人もの同級生を泣かしてきた事実がある。そいつがいなかったらクラスはどれだけ平和だろうか、、、って思わなくもなかった。だけど大人になってみるとどうでしょう。なぜか「イイ奴」になってたりもして、仕事や家族、友達にも恵まれ幸せな生活。フェイスブックとか見てるとわかるでしょ。

 でも、これってとても理不尽。「害」であったイジメっ子はできるだけ自分がしてきた以上の不幸に見舞われ、イジメられっ子は幸せに。だけど現実は決してそうじゃない。幸せな奴はますます幸せになってるし、不幸な奴はますます不幸に。これは大企業と中小企業も同じ。汚いことばかりしてる大企業はますます肥え太り、正直に走り回っている中小企業は蹂躙されるだけ。理不尽とわかっていても、大企業には頭を下げざるを得ない。経営30年の中小企業の社長が、入社3年の大企業の若造にペコペコして理不尽を受け入れる。その若造が遊び呆けている間も、中小企業の社長は夜を徹して単価数百円の仕事をしている。結局、「イジメ」って体質は大人になっても変わらないのです。

 おそらく池井戸さんは、そんな世の中に憤りを隠せず、世の中小企業に夢を与える小説を書き続けているのでしょう。でも、大企業は大企業で決して楽でもない。敵は外だけじゃなく、内にもいる。いやむしろ内部にこそ本当の敵が。実際、ウツになるのは大企業の方が多いって聞きますしね。おそらく一番楽なのは、、、私みたいなのだったりして(笑)

 それはそうと、「正直者がバカを見る」って世の中は確かに健全ではないものの、実際にはまだまだそれが現実。つまり「正直」であることと「幸せ」とは必ずしもつながりがあるわけじゃない。「善い行い」と「幸せ」が必ずしもつながりがあるわけじゃない。ですので、「良いことをしていると、神様が見てくれてて、きっと幸せになる」ってのは、「宇宙の法則」ではないのかもしれません。

 でも、誰だって「幸せ」になりたいと思いますよね。だけど、繰り返しになりますが、ボランティアに行っても、人に親切にしても、毎日「ありがとう」と唱えても、そして正直に生きていても、必ずしも「幸せ」になるとは限らないのです。じゃあ、その反対のことをすれば「幸せ」になれるのか。それまた違います。

 では、「幸せ」になるための「法則」ってあるのでしょうか。結論から言うと、「ある」です。これはまさに「脳」のメカニズムからもそう結論付けられます。つまり、、、幸せな人とは、いつも幸せだと思っている人。不幸な人とは、いつも不幸だと思っている人。これだけなのです。

 どんなに正直に生きていても、「いいことないよな~」って口癖のある中小企業社長は、その通りの人生を送るでしょう。どんなに心優しくても「オレなんか・・」と思っている元イジメられっ子は、その通りの人生を送るでしょう。池井戸小説に出てくる中小企業の社長は、まずは徹底的にやられます。大企業から、消費者から、銀行から、もう、本当に可愛そうになるくらいやられます。だけど、最後にはどんでん返しで成功。小説の世界とは言え、これは現実そのものだとも言えます。

 つまり「成功」する人は、、、常に「成功」をイメージしているのです。池井戸小説(特に「タイヤ」と「ロケット」)」では、どんなに追い込まれても、社長の「負けてたまるか!」って「根性」が貫いている。そこにオレは熱くなるのですが、、、これはまさに池井戸潤からの中小企業社長に向けたエールであり叱咤激励なのかもしれません。その意味で言うと、池井戸小説は最高の「自己啓発書」であるとも言えます。巷の自己啓発書がどんなにいいこと書いてても、心が熱くならなければ意味がない。やっぱり熱く生きたいですもんね。

 もう、過去とは決別。もちろん、予言とも決別(笑)。今を最高に、今を熱く生きてる奴の人生だけが最高ってこと。どんなに理不尽な目にあっても、常に明るい未来を描いていること。正直者がバカを見るような世の中は、オレだって嫌い。もちろん正直である方が、後ろめたさがない分、明るい未来を描きやすいので、やっぱり正直に素直に生きている方がいい。少なくともオレは、自分にウソつけないので正直に生きていきたいと思う。 

 でも、そんなことよりも、常に未来を明るく描くこと。笑顔、笑顔、大爆笑。世の中の理不尽なんて笑い飛ばせ。ついでに予言もぶっ飛ばせ(しつこくてゴメン)。熱く心を燃やしながら、明るく楽しく生きていこうぜ。オレはこれからもそうやって生きていこうと思う。それではまた明日。明るい明日。ありがとうございました。

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Commented by Qさんファン at 2011-08-15 20:05 x
数日前、栢野さんのユーストで8/7の講演の様子を拝見しました(タダ見ですいません…)
Qさんの講演は2回生で見ていますが、更にパワーアップした印象を受けました。
「すごいDVD」を見た者としての感想ですが、加賀田先生そっくりですね。
自分はモデリングについての知識はありませんが、Qさんを見て「これがモデリングなんだ」と直感しました。
そして、その技術以上に、「本気はワザを超える!」を感じました。
技も大事なのでしょうが、やはり人間はメンタルで決まるのですね。
Commented by katamich at 2011-08-22 18:04
■Qさんファンさん!
ありがとうございます。
竹田先生も実は53%はメンタルだと言ってますし、
加賀田先生も営業はメンタルだと断言しています。
本気、そして必死はまさにワザを超えますね。
by katamich | 2011-08-13 23:39 | ■人生哲学 | Comments(2)