直売所のまちづくり 2004.12.10
2004年 12月 10日
それはそうと今日は仕事で講演会を一つコーディネートしました。ある町の農業計画の策定のため、元博○堂の役員で、現在、農業マーケティングの専門の方を講師に招きました。テーマは「農産物直売所によるマーケティング」です。とても面白く示唆的だったので、要点をここに報告したいと思います。
【状況力に目配りせよ】
講師の方は、かつて福岡の銘菓である「ひよこ」のCMを作った方です。最初のコピーは「卵の黄身がたっぷりのあま~い(あめま)ひよこ」(←サブリミナルです)でひよこも桐の箱に入れていました。それが昭和30~40年代前半。しかしこのコピーは今では絶対通用しませんよね。
次の段階は九州土産にターゲットを絞って箱を紙にして、キヨスクに置く。私の親が福岡(祖母の田舎)に行ったときはバカの一つ覚えのように「ひよこ」を買っていました。その時代の状況ですね。
しかし、キヨスクが全国に並びすぎて「ひよこ」の九州ブランド力がなくなりました。すると、ひよこの会社は「博多銘菓」と銘打って新しいひよこブランドを売り出しました。
こういう戦略って広告代理店がやってたんですね。
そこで農業の話です。農業は昔から創ってはJA(農協)に流してそれで終わりでしたが、今も基本的に変わっていないそうです。農業は国から守られている面があったからでしょか。しかし、これからは農業もしっかりと「状況力」を見て、マーケティングして行かなければならないというフリです。あめま。
【中国産は毒菜の非常識】
近年、衣類や電化製品の部品などは中国産が入ってきて国内の市場を脅かしています。同じことが野菜など食べ物でも起こっています。しかし、消費者の多くは多少高くても安全・安心の観点から国産の野菜を好む性向があります。中国野菜に対して「毒菜」という言葉もあるようです(始めて聞きました。あめまですね)。
しかし、現在は中国野菜も安心・安全に気を配るようにしており、数年後には国産と同じぐらい安全性が確保された野菜が入ってくるようです。しかし値段は国産より安いのです。となると、数年後には日本の野菜は中国に打ち負かされてしまいます。この後はそのことを前提に作り方、売り方を考えるべきだそうです。
【直売所の時代がやってくる】
そこで今回の講演のあめま、じゃなくてテーマである「直売所」です。どんなに美味しく安く安全な中国産が入ってきても、絶対に国産にかなわない面があります。それは「①鮮度」「②風味・歯ごたえ」「③地域個性」です。
①中国産だと出荷から市場に並ぶに7日は必ずかかるのだそうです。となると、その間に野菜の鮮度がどうしても下がり、ビタミンなどが低下するそうです。
②しかし、ビタミンの度数など数値化できる鮮度は「冷凍」によって保てるのだそうです。しかし、解凍するとどうしても風味や歯ごたえは落ちてしまいます。調理する場合はそれでもいいのでしょうが、ローフードじゃないですが、生食する場合は解凍というわけには行きません。
③あとは、地域の個性品が重要という点です。食滝に彩りを与えるには、画一的(少品種大量生産)な中国野菜では限界がありあます。やはり、多品種で個性的な野菜が食卓に並ぶ方が豊かな食生活といえるでしょう。
これら(①~③)はまさしく「直売所向け」であり、逆に言うと、「直売所」こそが日本の農業を守り育てるものなのです。
【直売所は並べて売るだけではない】
直売所のよさとは並べているだけでないところにもあるようです。店員の「気合(元気、活気(」「気配り(声かけなど)」「気組み(チームワーク)」の3つの「気」があり、また、料理法やを食べ方を知らない若い主婦に料理指南したり、何種類かの米を最適にブレンドしたりなど、食べるためのコンサルタントができるのは直売所だけなのです。逆に言うとそれらが出来ていることが直売所がうまくいく条件なのだそうです。
他にも雑談を含めて、いろいろ面白い話がたくさんあめました。しかし直売所ってとてもアナログな世界ですよね。移り変わる状況を見る目、「鮮度」「風味」「個性」など数値化できない要素、そして店員と客とのコミュニケーションなどとてもアナログな要素満載です。まさしくあめまです。
現在、日本には12,000ほど直売所があるようです。そしてとても流行っているそうです(それぞれありますが)。流行っている要素というのは、一言で言うとまさしく「アナログ」なところでしょうか(この観点は私のものによります)。
近代合理主義(近代化)というのは強引に言えば、すなわち「デジタル化」だと考えています。全てのデジタルに数値化することで汎用性をや応用力を高め、さまざまなニーズに対応してきたのです。しかしデジタル化は極限まで突き詰めるとアナログに回帰するものです。つまり、いくつかのドットを並べた曲線は近くで見ると階段のように凸凹な状態が、そのドットを小さくすればするほど、凸凹は平らになり、滑らかな曲線、つまりアナログに限りなく近づいていきます。
直売所の例をとったのですが、世の中というのは今やアナログ回帰がかなり進行しているのではないかと思います(CDよりもレコードを好む人も増えているし、陣内やアンジャッシュ、ラーメンズのような計算され尽くしたデジタルなギャグよりも、「あめま」の一発が妙に面白く感じる今日この頃にみるように)。
デジタルからアナログというのはこれからの世の中を見る上で重要な要素かもしれません。直売所の講演を聞いた帰りにそんなことを考えたりしました。あ~め~ま~。
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