ようこそ!あなたを無意識の世界へと誘います!(その2) 2009.6.26
2009年 06月 26日
まずは前回の復習。ミルトンモデルとメタモデルのおさらいから。この二つはセットにして学習するとより効果的です。メタモデルは言葉の「省略」「一般化」「歪曲」された部分を明確にするプロセスであるのに対し、ミルトンモデルは逆に言葉をわざと「省略」「一般化」「歪曲」して「曖昧(アンビギュイティ)」にするところがその技法となります。では何のために?
メタモデルは「無意識」に埋もれたメッセージを特定の質問パターンによって明確するものであるの対し、ミルトンモデルは、脳が空白や足りない部分を埋めたがる特性を利用して、「曖昧さ」を自ら自ら補おうとすることで、「無意識」のリソースを浮き彫りにするものです。つまりメタモデルとミルトンモデルはベクトル自体が逆でありながらも、「無意識」から必要なメッセージやリソースを抽出するという点で共通します。
と言うわけで、前回に引き続きミルトンモデルに入ります。ミルトンモデルの本質は「自ら気づき考え動く」というところにあります。前回、「今、家を買うべきではない」というコピーを紹介しましたが、普通なら逆だと思われるかもしれません。つまりコピーの意図は「家を買え」であることは自明なのですが、人はそのように強要されると反発してしまいます。しかし「今、家を買うべきではない」は文字通りでとればそうなんですが、このメッセージには「今は買うべきではないとすれば、いつかは買う」という「前提」が入っています。そして「無意識」にアクセスしやすいのが、まさに意識化できない「前提」の部分になるのです。ですので、「じゃあ、とりあえず資料請求でも」という行動に移ってしまうわけです。本人は「なんとなく」そのように資料請求したのでしょうが、その「なんとなく」こそが「無意識」的な発動の証であり、それを意図的に引き起こす技法がミルトンモデルにはあるのです。
それでは次の文例をお読みください。
<文例1>
A.オペレーターがお待ちしています、いますぐお電話ください!
B.オペレーターにつながらない場合は、恐れ入りますが、繰り返しお電話ください!
では、AとBの文例のうち、どちらが電話をかけたくなるでしょうか?次もお読みください。
<文例2>
A.このジュースはとっても美味しくて健康的なんですよ!
B.このジュースは美味しくて健康的だと評判なんですが、飲んだことがありますか?
AとBと、どちらだとジュースを飲みたくなるでしょうか? おそらく多くの人が、どちらも「B」ではないと思います。なぜなんでしょうか? 「なんとなく」と思った人は、見事に催眠にかかっています。では、その「なんとなく」の理由を言います。
「文例1」のAでイメージできるのは、オペレーターが電話を待っている光景。一方、Bでイメージできるのは、オペレーターが忙しくて電話になかなか出られない光景。端的に言うと、Aが暇でBが忙しい。それでは、社員が暇にしている商品と、忙しくしている商品とでは、どちらの方が購買意欲を注がれるでしょうか? 言うまでもなくAでしょう。もちろんそれらはモノも値段も同じです。
これらは「言葉(意識)」で直接言われるよりも、自分でイメージしてしまったもの、つまり「無意識」によるイメージの方が、人を動かす力があることを証明するものです。それでは、「文例2」ではいかがでしょうか? もうお分かりですよね。
つまりは「意識(言葉)」によるメッセージよりも、「無意識(感覚、イメージ)」によるメッセージの方が強力であり、そのような「無意識」に働きかける言語パターンこそがNLPの文脈の中におけるミルトンモデルの真骨頂と言えるかもしれません。
そこで次に進みます。次はミルトン・エリクソンが好んで用いた「メタファー」です。私自身のコーチングにおいても、メタファーは非常に重宝します。例えばある人が何かに苦しんでいたとします。そこで「苦しみをやわらげなさい」と「意識(言葉)」で言っても効果はありません。私ならばまず、
「ところで、私ごとなんですが、小さい頃、よく蟻んこを虫眼鏡で焼いて遊んでたんですよね~」
なんて会話を唐突にしてみます。その話を聞いたクライアントは、そこで何を(無意識的に)連想するでしょうか?多くのクライアントは虫眼鏡で焼かれている蟻んこと、苦しみにもがいている自分自身を重ね合わせます。次にこのように言います。
「ここでもしも、虫眼鏡の角度を変えてみたら、蟻んこはどうなると思いますか?」
と。実際には日光を集める(フォーカス)ことができないので、焼かれることはなく、逆にほんわか温かくなるでしょう。そこでクライアントは、実際に苦しみにフォーカスすることをストップするかもしれません。さらに身体が温かくなってきて、場合によっては苦しみを愛することさえあるかもしれません。これがメタファーの力です。メタファーは「無意識」に対して必要なリソースを与える働きをするのです。
そこで今日は「メタファー」に強くなるためのワークをいくつかやってみました。一つはメタファーでアイデンティティを強化するワークです。
「あなたはどんな人ですか?どんな人になりたいですか?」
と直接聞くよりも、それをメタファーで聞いた方が効果的な場合が多々あります。そこで出したお題が、
「自分自身を『おでんの具』に例えると何になりますか?」
です。言うまでもなく、おでんにはたくさんの具があります。大根、こんにゃく、卵、ちくわ、はんぺん、巾着、スジ肉などなど。ここで「大根」と答えた時、その人の「無意識」にはどんなメッセージ・リソースが届くでしょうか?おそらく「最初はちょっとピリッとするんだけど、煮込むと周りの出汁を吸い取って柔らかくなり、一躍、人気者になる。そしてもともとは真っ白」なんてもの。これはこのようにも解釈できます。「一見、難しそうな印象を受けるかもしれませんが、実際には周囲の意見をよく聞きながら、全体をやわらかくまとめ、なくてはならない存在になります。そもそも心は真っ白でピュアなのです」、と。
自分はおでんの具で言うと「大根」というメタファーを獲得した瞬間、「無意識」は上記のようなアイデンティティを取り入れるのです。そのような観点から今日の参加者に「おでんの具」になってもらいました。それぞれウィットに富むアイデンティティが出てきたのですが、大賞は「卵」の女性。その心は「キミ(黄身・君)を包む」から。まさにミルトン的なアイデンティティですね。
もう一つメタファーの練習をしました。それは落語の大喜利などでやる「なぞかけ」です。「○○とかけて××と解く。その心は?」ってやつです。これは作るのは簡単。A=C、C=B、ゆえにA=Bの図式から、「C」を隠せばいいだけですから。つまり「AとかけてBと解く。そのCは?」という図式です。これはAとBの共通項Cが「無意識」に働きかけることによって、相手の心に強く訴えかける効果があります。そしてこのような駄洒落のような思考様式を習慣化することによって、メタファー力が向上し、会話にウィットを加えることもできるし、コーチングやセラピーをやっている人も、思わぬ効果をもたらすことがあります。
例をあげるとこんなもの。
・「シベリア」とかけて「駄洒落」と解く。その心は? → 両方寒い
・「ミニスカート」とかけて「結婚式のスピーチ」と解く。その心は? → 短いほど喜ばれる
私もセミナー前30分で9個考えました。難易度の易しいものから発表します。さてその心は?
・「初孫」とかけて「目薬」と解く。その心は?
・「おばあちゃん」とかけて「背中のかゆい人」と解く。その心は?
・「厚化粧のばばあ」とかけて「やたら安い部屋」と解く。その心は?
・「豆腐」とかけて「最近の若者」と解く。その心は?
・「紅茶」とかけて「鰹」と解く。その心は?
・「新婚さん」とかけて「花火大会」と解く。その心は?
・「ホワイトボード」とかけて「尻に敷かれたダメ亭主」と解く。その心は?
・「ブッチャー」とかけて「初めて子どもができた夫婦」と解く。その心は?
・「熊本」とかけて「単身赴任の奥さん」と解く。その心は?
正解は後日、「『宇宙となかよし』の裏側」にでも発表します。特に最後のがわかった人は天才か変態です。
今日はこれでもかとばかりに盛りだくさん。次はある技法を扱いました。石井裕之さんが有名にした技法で、よく偽占い師が用いた技法なんて言われ方をされます。マルシーの関係でブログには書きませんが。これもわざと「曖昧」なことを相手に言うことで、相手が勝手に「無意識」から考え出すことを狙った技法と言えるでしょう。もちろんこれは良くも悪くも使えますが、私のセミナーに参加される人は、いいことに使うと思いますので、思い切って扱いました。この辺りは、いろんな話ができるし、禁断の技法も数あるので、ブログでは割愛したいと思います。ちなみにネット上で拾ったコピペです。
<おまえらの特徴>
○ 部屋は汚いが、片付け始めるとトコトンやる
○ 公の場では綺麗に使うよう心がける、友人の家も綺麗にする
○ 熱しやすく冷めやすく、一度冷めたらどんなに中途半端でもヤ~メタ
○ 基本的に無気力だが、変な事には異常にこだわりを持つ
○ 洗濯物はタンスに入れず、出かけるときは無造作に置いてある中からチョイス
○ 家に帰ると即効で着ていたものを脱ぐ
○ 夜中に昔の痛い自分を思い出してあああああああああとなる
○ 人の悩み事は親身に聞くが自分の悩みは話さない
○ 人情話に弱いが実際に人と接する場はあまり好まない
○ コンビニでお釣りの渡され方を妙に意識してしまう
○ 寝てたわけじゃないのに「ごめん寝てた」の言い訳を使うことがある
で、最後はまた禁断のダブルバインド。テーマは加賀田式クロージングです。まずはダブルバインドのおさらいから。
「怒らないから正直に言いなさい!」と怒りながら言う
「おいで」と手を差しのべながら、近寄ると不機嫌な顔をし、近寄らないと寂しそうな顔をする
以上は、どっちに転んでも怒られるし、不機嫌な思いをさせてしまうというダブルバインドです。つまりどちらも特定の「前提」が含まれており、相手を「バインド(縛り)」でがんじがらめにすることで、その「前提」に落とし込んでしまうのです。もしも「前提」に陥らなければ、場合によっは自分を傷つける行為にでることがあります。これはグレゴリー・ベイトソンの研究テーマであります。
ただ、これはいろんな分野に利用されています。セールス、恋愛、人間関係、自己発見などなど。ここではセールス、それも加賀田式を材料に、お客さんを確実にクロージングするプロセスを簡単にワークしてみました。ここでは「買う」という「前提」を元に、お客さんは「バインド」にかけてしまう話法です。げに恐ろしきかな。
今日もまた盛りだくさんに盛り上がりました。とてもレポートはしきれません。次回はビリーフチェンジ、特にお金をテーマとしてやってみようと思います。いよいよやってきましたね。ありがとうございました。
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