今話題の「世界けんか独り旅」を読む 2008.1.7

 今日から本格的な始業でしたね。連休が長ければ長くなるほど、復活するのも大変だと思いますが、今週末はまた連休です。ほどよいインターバルのような気がします。こうやって徐々に現状復帰にもっていくわけですね。今日の私の動きとしては、いろいろたまっていた事務作業を一つ一つ片付けていきました。外に出ると、とても暖かく、3月並の気温だそうです。夜は久々に銭湯に行きました。銭湯と言っても、各種サウナ、露天風呂などいろいろ揃っているもので、一時間ほど風呂に入って、そこで夕食にしました。たまにはこんなのもいいものです。

 それから今日は思いつくがままに任せて、ミクシィ日記でいろいろ記事をアップしました。「財布と相談」、「日本滅亡の始まり」、「韓国人の顔」、「行きたい国」、「熱く語りませんか!」などのエントリーを短時間に長文も含めて、よくもまあ、書き続けられるものだと我ながら感心します。ブログの場合は少しは節度を持って書いているつもりではあるのですが、ミクシィ日記は、その辺の節度はあまり意識していません。間違ったこと、一人よがりのことも平気で書きますし、批判的な文章もあったりします。その点、割と本音に近いところがミクシィ日記だったりします。それはそうと、先ほど、興味深いテレビニュースを見ました。

 「新風舎」という、主に自費出版を支援している会社が、その著者から訴えられている、というニュースです。これは半年ほど前にも見たことありますが、気になったので、改めてじっくりと見て、ネットでも調べてみました。正直言って、「これはひどい!」という内容です。何がひどいかと言うと、出版社ではなく、訴えている著者側です。とりあえずニュースの内容としては、訴えられた「新風舎」が民事再生法を申請したという話ですが、私的には「新風舎」への同情を禁じえない、と言ったところです。そもそも自費出版を奨めて、著者から経費を負担してもらうこと自体、何の違法性もありません。ただ、訴えを起こしている代表の吉田龍恵氏(77)という元大学教授によると、新風舎の「すべては表現者のために」という社是に打たれて、出版を持ちかけたところ、「素晴らしいので是非うちで出版したい」「本屋に並びます」などと言われて、制作費の130万円を出版社に支払い、実際に出版されたものの、近所の3つほどの本屋を除いて、どこにも置かれてなかったことにキレたことがことの発端のようです。

 そして実際に訴えを起こしたのは、代表の吉田氏など3名と一法人。それにより詐欺的な報道をされてしまい、営業活動に支障がきたされ、ついには民事再生法の申請となったわけです。確かに出版社側にも悪い点はあるとは思いますが、いわゆる商業出版で採用されなかった自費出版の本を、どのような営業をすれば全国の書店に並べられるというのでしょうか。で、原告代表の吉田龍恵氏がどんな本を出版したのか調べてみたところ、すぐに引っかかりました。しかもオンライン書店の世界最大手のアマゾンドットコムです。

吉田龍恵「世界けんか独り旅」

 ちゃんとあるやん。そしてまずレビューを読んでみたのですが・・・。それから「なか見検索」で立ち読みさせてもらったのですが・・・。私は旅行が好きで、旅行記の類も好きでよく読むのですが、吉田龍恵氏の「世界けんか独り旅」はあまりにも・・・な内容です。正直言って出版に値しません。こんなこと書くと、著者から訴えられそうですが、宣伝してあげただけでも、ありがたいと思って欲しいです。こんな本を(思わず「○○みたいな」と形容しそうになった)、500部も出たこと自体がすごいことです。ちょっとだけ内容を紹介すると、初っ端からアメリカ人に理不尽にも怒り散らしています。飛行機で隣に座ったアメリカ人相手に英語をしゃべりたくなって、英語ができることをアピールするべく英字新聞を広げたにも関わらず、そのアメリカ人はその向こう隣のドイツ人と話し始めたというのです。それをして、有色人種差別だとわめているという傑作な内容です。実際に喧嘩したわけでもなく、海外で体験した、ちょっと嫌なできごとに対して愚痴っているだけのようです。マス大山氏の「世界けんか旅」を一緒に買った人がかわいそうでなりません。

 そんな話が平仮名ばかりの大きな字で100頁ほど続くようです。値段は1,000円。どうすれば売れると言うのでしょうか。しかも今やインターネットで良質の文章が無料で読める時代です。私のこの個人的な日記でさえ、一日に1,000人近くの人が読んでいます。めったに出さないメルマガでさえ500人が購読しています。それでもお金を頂いて読んでもおうとは微塵も考えません。しかし中には、「きっこのブログ」のように、一日に何十万人もの人が読んでいながら、最近になってようやく出版社のオファーにOKを出して、ベストセラーになった本もあります。つまりはどんな本であろうと、自費出版であろうと、内容がよければある程度は売れるものです。これでは服屋に行って、店員から「とってもお似合いですよ、周りの女性は放っておかないかもしれませんね」と言われて、その気になったものの、実際には女性から全然相手にされなくって、服屋の店員に逆恨みするようなものです。

 この場合、新風舎の反省点は一つ。あの本の内容を見れば、著者がキ○ガイであることは推測できるのに、それを怠った点です。それこそチラシの裏にでも書いておけばいいような内容の本を、たったの130万円で500部も刷り、3店舗に並べ、アマゾンにまで売られたことにまずは筆者は感謝すべきです。それどころか全国の本屋に並んでいないことに腹を立てて出版社を訴えるなど、いったい何様のつもりでしょうか。「新風舎」のサイトを見る限り、実に真面目な印象を受けます。自費出版であっても、実際に出版され、増版されている本も少なからずあります。で、このような訴えを起こされるケースというのは、全体の中の本当に少数であり、その少数のために会社が倒産に追い込まれることには、まことに同情を禁じ得ません。まずは目先の裁判が片付いたら、吉田氏他を逆訴訟してもいいと思っています。吉田氏はこの騒ぎに便乗して、名前や著作が世に知れ渡り、内容に見合わない宣伝効果もあったと思われます。と同時に、日本全国に恥を曝したとも言えます。

 そもそも「自費出版」とは個人的に書いた自己満足本を一つの形に残し、せめて知り合いにでも読んでもらえれば、という主旨にあるはずです。全国の書店に並べて、大量に販売するものでは本来的にありません。ちなみに実は私も自費出版本があります。と言っても、共著だし、お金は一銭も払ってないのですが、20歳の時に書いた本です。一冊1,000円を10冊ほど無理矢理売りつけたことはあります。それが自費出版というものです。実際に本が売れる要素は二つだけです。一つは内容がすぐれていること。もう一つは著者が著名であること。もしも「世界けんか独り旅」を長澤まさみが書いていたら、5,000部は売れたかもしれません。

 そもそも、ブログもある、メルマガもある、電子書籍もあるような時代に「自費出版」はそぐわないのではと思います。それこそ人生の一つの証として、きちんと製本された形が欲しいなどの場合を除いて、もし、少しでも読んでもらおうという気持ちがあるのであれば、まずはネットを活用して文章を無料で配信するところからスタートするべきです。同じ旅行記であっても、「世界けんか独り旅」よりも読み応えのある文章はネット上にいくらでもあります。そこである程度の読者を獲得してから、機会を見つけて出版に乗り出すのが、これからの本当のスタイルのように思われます。実際、出版するとなると、時間も体力も要するものです。いきなりそこに行くのではなく、私のようにしょうもない文章でもミクシィとかに垂れ流して、ある程度の反応をうかがってからの方が正解だと思います。ちなみにミクシィってすごくって、とても有名な方の生の日記が無料で読めたりしちゃいます。私の敬愛する五日市剛さんの文章も1000人限定で読めちゃいます。こんな時代に「世界けんか独り旅」に誰が1000円も払って読むのでしょうか。それが現実です。

 ま、一つの問題提起として「世界けんか独り旅」が出版された意義は少なからずあろうかとは思います。その意味で著者の吉田氏には敬意を表したいと思います。ちなみにアマゾンのレビューを読んでると小一時間笑っていられますし、何よりも傑作なのが裏表紙です。この裏表紙を見るだけでも購入の価値はあると思いますが、アマゾンのなか見検索で見れるので、そのためだけに買うのは控えた方がいいとは思います。ただ、今後、この本は問題作としてプレミアが付く可能性はないことはないと思いますので、1,000円を投資する価値は人それぞれでしょう。1,000円で購入してヤフオクで1,200円で売れるくらいは充分可能性があります。

 というわけで、話題作を読む、でした。

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by katamich | 2008-01-07 23:51 | ■読書・書評 | Comments(0)