人民元の切り上げに際して 2005.7.22

 今日も朝から晩まで人と会って話しをしていました。とても充実した一日でした。しかし人と会うと金(経費)がかかりますよね。コーヒー一杯でもそれが重なると結構な経費となります。最近では「領収書を切ってもらう」ことが習慣になってきました。だんだんとサラリーマン時代の習性がなくなりつつある今日この頃です。

 今日、久々に注目すべきニュースがありました。人民元の切り上げ。中国は米ドルに連結していて(ペグ制)、いわゆる固定相場制を採用していたのが、今回2%の切り上げとともに固定相場制からドル・ユーロ・円に連動する「通貨バスケット制」に移行したそうですね。

 固定相場制は主に開発途上国が採用している政策で、為替相場の変動に左右されないで、安定した輸出競争力を確保できるというわけですね。しかし、昨今の中国は十分な国際競争力をつけたという理由で、アメリカからペグ制の解除を求められてきました(そうなるとアメリカの貿易赤字が軽減できる)。そして様々な背景があるのでしょうが、今回ついに中国経済の方程式が変わることになったのです。

 エコノミストの見方では、当面、影響はないとされているようですが、長期的には大変な影響があると思われます。あくまで、私の理解ですが、

1.外国からの直接投資が減少して(つまり人民元が高いから)、ミクロ経済へ悪影響をもたらす(中国にとって×)
2.輸出競争力が低下して、経済成長にブレーキがかけられる(中国にとって×)
3.一方で、人民元に対する投機行為を刺激して、富の分配がより不均衡になる(中国にとって○であり×、外国にとっても○であり×)
4.日本国内の中国製品が高くなり、購買力が低下する(日本にとって一時的に×、長期的にはデフレの解消が進み○)
5.とにかく国際経済が激動する(○であり×でもある)

 今日の円相場は人民元の切り上げ後に一時的に急騰しその後急落して、一ドル110円台に落ち着きましたが、最近の円相場から見ると、円安が進んだことになりますね。人民元の切り上げはトータル的には日本にとってデフレの解消という点でよいことかもしれません(一時的には)。

 しかし、日本経済にとっては今後さらに憂慮すべき状況が訪れるかも、と思っています。それは「ハイパーインフレ」です。とある経済誌によると、2007年には日本の債務が暴発し、日本政府としてはインフレ策を取るしかなくなります。そうなると日本の債務は解消されたとしても、1400兆円の個人資産も同じく価値を失います。そして従来のサラリーマンや年金生活者など所得が物価にリアルタイムにスライドしない人たちは、生活がものすごく圧迫されることになります。これまでは中国製品など安いものが市場に確保されいたのに、今回の人民元切り上げで(悪いものは淘汰されても)安いものが少なくなっていきます。

 ハイパーインフレに関して面白いエッセーを見つけました。この意見に賛成です。

 ハイパーインフレはいつ起きても不思議じゃない。というよりも、そうする以外に政府は逃げ場がないんだ。
 ハイパーインフレが起きるとどうなるか。オレみたいに商売やってる人にはあまり影響がない。でも、サラリーマンや年金生活者が犠牲者になる。収入はあまり変わらないのに、物価が急激に上がるから、生活がチョー苦しくなる。それこそ年金どころじゃ食っていけなくなる。
 政府は、「10年先、20年先を見越した年金改革」なんて眠いこと言ってるけど、10年先どころか、今の生活が危なくなるんだ。ハイパーインフレは大津波みたいなもんだから、とにかく高台に避難する以外に助かる方法はない。
 具体的にどうすればよいか。オレは昔からインフレに対処する最良の方法は教育投資だと言ってきたし、自分でも実践している。要するに、物価が上がっても、それにスライドした報酬を得られるようにしておくということ。
 コンビニの店員では時給900円にしかならないけど、プログラミングのできるウェブデザイナーや動画像の編集者なら時給3000円以上は固い。
 要するに、頭脳に投資することが、最大のインフレ対策。今すぐ始めないと、間に合わないよ。
(ここまで)

 このエッセイストはハイパーインフレに対抗するには「頭脳への投資」つまり「教育」と結論付けており、私もこれに関して両手を挙げて賛成です。今後、会社はおろか日本国も個々人の生活を担保してくれない時代が来るからです。今までは、会社に入れば「飯が食え」、会社には入れなければ、最終的には「生活保護」という受け皿もあったのですが、これからは会社も国も面倒見てくれなくなるでしょう。間違いなく。

 2007年というのは日本経済にとってターニングポイントとなる年です(あと2年後)。つまり国の債務の暴発に加えて、「団塊の世代」と呼ばれる人たちがいっせいに定年を迎えます。すると、年金の受給バランスがさらに不均衡になり(受ける人が激増して、払う人が激減する)、年金財政(社会保険財政)はさらに圧迫されますね。さらに団塊の世代が持つ技能や人脈が企業から流出することで、給料を払わなくて済む以上の痛手を被ることになります(退職金も馬鹿にならないし)。

 よって、これから先の日本経済においては、マイナスの材料が一気に押し寄せ、それらが相乗的に国民を圧迫していきます。それを回避するためには、月並みですが、「いかにしてマイナス材料を回避する、又はプラス材料に転化するかの、能力を身に付ける」ことだと思っています。それがいわゆる「経済教育」であり「社会人教育」であると思われます。

 蛇足ですがもう一つ大切なのは「農業」です。先ほどから言っているように人民元の切り上げ、さらには日本国債の暴落を契機として、国外の安いものが日本に入って来なくなると、食べ物が市場から姿を消すことになってしまいます。つまり食糧難となります。そうならないためには日本も「自給自足」できる体制を整える必要があります。荒廃農地が回復するには5年は必要とされてるので、もしかしたら手遅れかも(涙)。

 まとめますと、今後の我々に必要のは、「教育」「農業」です。

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by katamich | 2005-07-22 23:09 | ■時事問題 | Comments(0)